研究課題/領域番号 |
20K07027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
高久 静香 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (50383013)
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研究分担者 |
三五 一憲 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (50291943)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 末梢神経障害 / 抗がん剤 / ニューロン / シュワン細胞 / 共培養 / ミエリン形成 / シグナル伝達 / 軸索変性・再生 / 髄鞘形成 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤治療による末梢神経障害(CIPN)は発症機序に不明な点が多く、有効な緩和や予防法が存在しない。CIPNは患者のQuality of life(QOL)を著しく低下させ、抗がん剤の投与量減少や治療中止を余儀なくされることがあるため、CIPNの予防・治療法の確立は急務である。申請者らは成熟ラット初代培養ニューロン、各種株化感覚ニューロン、運動ニューロン、株化シュワン細胞、またそれらの共培養による髄鞘形成誘導モデルを用いて、抗がん剤による発症機序をそれぞれ確認し、それらの知見に基づき、実験動物による検証を進める予定である。
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研究実績の概要 |
抗がん剤の副作用として「しびれ、痛み、感覚低下、歩行異常」などの末梢神経障害が出現する頻度は高く、患者のQOL低下の要因ともなり、また難治である。抗がん剤の種類によって、障害される部位が軸索、神経細胞体、髄鞘と大別されるが、そのメカニズムは充分に解明されておらず、成因に基づく根本的治療法も確立されていない。 また、進行・再発の大腸がんに対して汎用されるオキサリプラチン(L-OHP)は脊髄後根神経節(DRG)内の感覚ニューロン細胞株に直接毒性を示すことが報告されているが、その細胞障害メカニズムは明らかになっていない。 そこで本研究では初代培養ラットDRGニューロン、株化DRGニューロンND7/23、株化シュワン細胞IFRS1を用いて、L-OHPによる細胞死誘導機序を解明中である。 一方、末梢神経障害を予防・緩和するサプリメントや漢方薬など使用されている。しかしながら、いずれも根本的治療法ではなく、予防・緩和に充分な効果を発揮しているとは言い難い。 そのため、本研究ではDRGニューロン-IFRS1シュワン細胞共培養にL-OHPを投与することにより、ミエリン構造や神経ネットワークが変性していることを観察し、それらの障害がてんかん・パーキンソン病治療薬ゾニサミドにより軽減されることを確認している。さらに、臨床に応用できる様、ゾニサミドを前投与あるいは同時投与をして末梢神経障害の緩和を想定し検討している。また、シグナル伝達経路の阻害剤を用いて、L-OHPによるDRGニューロン死誘導機序を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤L-OHPを初代培養ラットDRGニューロン、株化DRGニューロンND7/23、株化シュワン細胞IFRS1さらに、初代培養ラットDRGニューロン-シュワン細胞IFRS1共培養系に添加し、細胞毒性の比較(時間経過など)や細胞内シグナル系の変化を確認している。 1)L-OHPは濃度依存的にニューロンやシュワン細胞の細胞死を誘導し、ニューロンに対する毒性が強いことを明らかにした。2)L-OHPによる細胞死誘導にはp38MAP kinaseのリン酸化亢進が関与することを明らかにした。3)「末梢神経病変に対するゾニサミドの有用性・ドラッグリポジショニングの可能性」についてDRG初代培養ニューロン-シュワン細胞共培養に薬剤投与を行い検討した。抗がん剤投与による神経線維の変性やシュワン細胞の神経線維からの脱落がゾニサミドの前投与により抑制される傾向が観察された。4)株化感覚ニューロンへの抗がん剤投与、またゾニサミドによる神経毒性緩和をリピドーム解析を行い、現在検討中である。 これらの結果は、2022年に開催された第95回日本生化学会大会シンポジウムにて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1)抗がん剤はL-OHPの他、白血病、小児腫瘍などに処方されるビンクリスチンや多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫に処方されるボルテゾミブがあるのでL-OHPと同様に各種細胞に投与し、細胞の毒性を検討する予定である。 2)各薬剤を成熟ラットに経口もしくは腹腔内投与し、神経組織(脊髄、DRG、坐骨神経)の病理変化を観察する。 3)リピドーム解析の結果より各薬剤による障害メカニズムを分子レベルで詳細に検討する。
将来、臨床応用できるよう抗がん剤による神経障害のメカニズムを明らかにする。
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