研究課題/領域番号 |
20K07030
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
古田 和幸 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50644936)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 樹状細胞 / 抗原提示 / 獲得免疫応答 / 小胞輸送 / MHC-II / Rab |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では外来病原体に由来する抗原を提示し、獲得免疫応答を誘導する役割を持つ樹状細胞について、周辺環境からの刺激による抗原提示能の変化を制御する因子、およびその制御因子を介した抗原提示関連分子の輸送活性制御機構を明らかとする。特に本研究では細胞内小胞輸送制御因子に着目し、抗原提示関連分子の発現制御機構を解析する。
|
研究実績の概要 |
樹状細胞は生体に侵入した病原細菌や腫瘍由来成分などの外来抗原を取り込み、主要組織適合抗原分子(MHC-IおよびMHC-II)を介して、外来抗原に由来するペプチドを T細胞に提示することで、病原細菌や腫瘍に対する免疫応答を誘導する。この抗原提示においては、MHC-I、MHC-IIの発現と共に、活性化因子であるCD80、CD86といった共刺激分子、また抑制因子であるPD-L1、PD-L2などの共抑制分子の樹状細胞表面における発現が、抗原提示を受けたT細胞の性質を調節する。病原体への感染時や、腫瘍に対する応答において、樹状細胞の周辺環境に存在する因子には、樹状細胞の表面分子の表面発現変化を誘導するものが知られており、樹状細胞による抗原提示機能を変化させると考えられている。特に、抗腫瘍免疫応答の誘導においては、腫瘍細胞や腫瘍周辺細胞の産生する因子は、樹状細胞の抗原提示機能に対して抑制的に作用することが知られている。 そこで、本研究では、環境に存在する化学物質や、腫瘍周辺環境に由来する因子などの周辺環境からの刺激に対する、樹状細胞の抗原提示関連分子への作用の解明を目的として解析を行い、今年度は以下の結果を得た。 1) 炎症における免疫細胞や、腫瘍細胞が産生することが知られているATPの樹状細胞への作用を解析し、ATPが樹状細胞を活性化することを見出し、さらにそのメカニズムを明らかとした。 2) 環境中に存在する化学物質である不飽和カルボニル、およびキノン類が、樹状細胞の機能に対して影響を与えることを見いだした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、樹状細胞に対する細胞外ATPの作用について解析を行い、その性質を解明し、学会および論文発表を行った。さらに解析の過程において、不飽和カルボニル、およびキノン類の樹状細胞への作用を見出した。これらの作用メカニズムの解明にはさらなる解析が必要であるため、研究期間の延長を行ったが、全体としては順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までの検討で、樹状細胞に対する不飽和カルボニル、およびキノン類の作用について、樹状細胞の抗原提示に関与する作用を見出したので、それらの作用機序の解析をさらに進める。具体的には抗原提示の調節因子である共刺激分子、共抑制分子の発現制御について解析する。これらの解析によって、腫瘍免疫応答に対する不飽和カルボニル、およびキノン類の樹状細胞への作用の分子実態を解明する。得られる成果について学会および論文発表を行う予定である。
|