研究課題/領域番号 |
20K07031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大黒 亜美 広島大学, 医系科学研究科(薬), 特定准教授 (20634497)
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研究分担者 |
山崎 岳 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (30192397)
石原 康宏 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 准教授 (80435073)
今岡 進 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (60145795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | エポキシド加水分解酵素 / 長鎖不飽和脂肪酸 / ドコサヘキサエン酸 / 脱リン酸化活性 / リゾホスファチジン酸 / チトクロームP450 / 薬物代謝酵素 / 可用性エポキシド加水分解酵素 / DHAジオール / 可溶性エポキシド加水分解酵素 / パーキンソン病 / 酸化ストレス / DHA / アラキドン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
可溶性エポキシド加水分解酵素EH(sEH)は、生体内の生理活性物質であるアラキドン酸やDHAのエポキシ体を加水分解する一方、この活性を有するドメインとは別のドメインに、リゾホスファチジン酸(LPA)の脱リン酸化活性を持つことを見出している。 本研究では、sEHの二つの活性が脳内でこれらの生理活性脂質をどのように制御しているのか、さらにそれらが脳の高次機能に与える影響とその作用機序を明らかにする。本研究により将来的にそれぞれの活性を制御することにより長鎖不飽和脂肪酸由来の生理活性脂質の活性制御を介して、脳疾患に伴う脳機能低下の予防や改善に繋がることが期待できる。
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研究成果の概要 |
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)はエポキシド加水分解活性と脱リン酸化活性の二つの活性を持つ酵素である。本研究により、ドコサヘキサエン酸(DHA)エポキシドからsEHにより生成するDHAジオール体(19,20-DHDP)が脳に存在し、マウスのDHA摂取により顕著に増加することを見出した。また19,20-DHDPは、神経保護作用を持つことを明らかにした。一方で、sEHの脱リン酸化活性の欠損マウスを作製し、行動異常を示す表現型や、脳における脂質代謝変動や遺伝子発現変動を明らかにした。従ってsEHの脱リン酸化活性も脳機能の制御に関与することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで成獣においては、脳におけるDHA摂取効果が見られるにも関わらず、脳内のDHA量は変化しないことが知られていた。本研究では、DHA量は変化せず、DHAのsEHによる代謝物であるDHAジオール体がDHA摂取により脳で増加することを見出し、代謝物の脳における重要性を示した。また妊娠マウスのDHA摂取は、代謝物の生成を介して胎児脳神経のメチル水銀毒性を軽減できることを明らかにした。従って、DHAやその代謝物を妊婦が補給することは、メチル水銀による胎児の脳発達異常を軽減できる可能性を示した。一方で、また機能が不明であったsEHの脱リン酸化活性が、脂質代謝を介して脳機能を制御することを見出した。
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