研究課題/領域番号 |
20K07035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (30445192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性骨髄増殖性腫瘍 (MPN) / JAK2V617F変異体 / エリスロポエチン受容体 (EpoR) / STAT5 / CIS / DDX5 / トロンボポエチン受容体 (TpoR) / G-CSF受容体 (G-CSFR) / Rras2 / Pim1 / Pim2 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性骨髄増殖性腫瘍 (MPN) の原因であるチロシンキナーゼJAK2変異体のEpoRを介した発がんシグナルを分子レベルで理解することにより、MPNの発症機序を理解することをめざす。これまでに申請者らは、JAK2変異体が、エリスロポエチン受容体 (EpoR) の3か所のチロシン残基 (Y343, Y460, Y464) のリン酸化を介して、細胞の形質転換や腫瘍形成を誘導することを見出している。本研究では、EpoRの結合分子を同定し、各EpoR結合分子の役割を解析することにより、JAK2変異体の下流で、リン酸化EpoRを基軸として形成される発がんシグナルの実体を解明することをめざす。
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研究成果の概要 |
チロシンキナーゼJAK2V617F変異体は、慢性骨髄増殖性腫瘍の原因遺伝子産物である。本研究では、JAK2V617F変異体が示す形質転換能に必須であるエリスロポエチン受容体 (EpoR) のリン酸化部位を介して結合する分子としてCISを同定し、EpoR-STAT5を介して発現が誘導される遺伝子産物としてDDX5を同定した。CISは、JAK2V617変異体によるERKの活性化を阻害し、発がん抑制因子として機能する一方で、DDX5は、JAK2V617変異体によるmTORの活性化を誘導し、発がん誘導因子として機能することが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、JAK2阻害剤Ruxolitinibが慢性骨髄増殖性腫瘍の治療薬として用いられているが、治療効果の低さが問題となっている。本研究により、慢性骨髄増殖性腫瘍におけるCISやDDX5を介した発がん制御機構を解明したことにより、新たな治療標的分子が同定された。よって、本研究成果は慢性骨髄増殖性腫瘍の治療薬開発の一助となると期待される。 また、JAK2V617F変異体は、EpoRを足場タンパク質として、発がん誘導に対して、正にも負にも機能する多様なシグナル経路の活性化を誘導することを見出した。本研究により、複雑なJAK2V617F変異体の発がん誘導機構の一端が解明された。
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