研究課題/領域番号 |
20K07043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 金沢大学 (2022) 産業医科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
北川 恭子 金沢大学, がん進展制御研究所, 研究協力員 (20299605)
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研究分担者 |
辻 真弓 産業医科大学, 医学部, 教授 (40457601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 鉄剤 / 貧血 / 鉄過剰 / 血球細胞分化 / 造血障害 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄剤等での過剰な鉄摂取は造血障害をひき起こすが、そのメカニズムの全容は未解明である。 申請者の予備的実験から、鉄過剰状態では CD71を介して血球前駆細胞に異常に強い鉄シグナルが入り、各種分化細胞の産生が障害される可能性が見出された。 妊婦には貧血対策で鉄剤の服用者が多いが、鉄過剰の副作用は注視されておらず、好中球や血小板の産生不全が見逃されると、妊産婦死亡原因の約30%を占める細菌感染や分娩時の大量出血の発生要因になり得る。 本課題では「鉄過剰は血球前駆細胞の障害の原因となる」ことを検証し、その発生機序を解明すると共に、鉄剤過剰使用による造血不全の発生リスクを、妊産婦に注目して評価する。
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研究成果の概要 |
我々は過去の研究で、各種の血球細胞はその分化過程初期の前駆細胞で一過性にトランスフェリンレセプターが発現することを確認した。このことからそのリガンドとなる鉄の過剰供給はシグナル過多をもたらし、血液前駆細胞の正常な分化が妨げられる可能性があると考えた。 妊婦を対象に鉄剤使用期間とこれらの異常発生との関連性がみられないか検討したところ、長期鉄剤使用群は他の群と比較して血小板数が低い傾向にあり、しかも貧血は改善傾向が認められないことがわかった。このことは鉄剤の長期使用による巨核球の分化成熟障害が発生している可能性とともに、鉄供給不足以外が原因で貧血が継続している集団が存在する可能性を示唆する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大規模アンケート調査より、妊婦は鉄剤処方される割合が42%と非常に高いことが明らかとなり、長期間の鉄剤摂取に健康リスクがあるか否か、科学的に検証することの社会的意義は大きい。今回の結果は血小板減少のリスクを示唆し、血液検査値の把握が重要であると考えられた。 ただし予想外に、長期使用群に分類された妊婦は0.2%未満とごくわずかで、処方箋通りに服用されていない例が大半を占めていることが明らかとなった。この事実を医療者が把握していないことに対する警鐘を鳴らすことも、適切な医療行為の推進のためには重要であると考えられた。
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