研究課題/領域番号 |
20K07046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
多留 偉功 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (30533731)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シナプス / カルシウムチャネル / 線虫 / C. elegans / プレシナプス / 電位依存性カルシウムチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
神経系の機能には、シナプスを介した神経細胞間の情報伝達が不可欠であり、その異常は種々の精神・神経疾患の要因となる。正常なシナプス伝達には引き金となる電位依存性カルシウムチャネルCav2が、シナプス前部(プレシナプス)に正確に局在することが必須であるが、その制御分子機構には不明な点が多い。本研究は、モデル動物の線虫シー・エレガンスで同定した、アダプター分子RIMB-1・UNC-10によるCav2局在制御について、分子間相互作用を介した機構を明らかにする。さらにCav2局在に関わる分子群を遺伝学的な手法を用いて新たに探索・同定し、Cav2局在制御機構の全体像の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
神経系では、シナプスとよばれる細胞接着構造を介した細胞間伝達が情報処理機能の基盤となる。シナプス前部(プレシナプス)の中心部位アクティブゾーンから神経伝達物質が放出される。電位依存性カルシウムチャネルCav2は放出の引き金を引く分子であり、アクティブゾーンへの正確な局在は正常な神経伝達に必須である。Cav2 の局在分子機構に関して、代表者らは遺伝学的解析に長けた無脊椎動物の線虫C. elegansを実験モデルとして、アクティブゾーンのアダプター分子RIMB-1/RBPとUNC-10/RIMの寄与を明らかにしてきた。本研究課題では、Cav2局在制御におけるアダプター分子の相互作用機序および新たなCav2局在関連分子群の同定を主要な目的とした。本年度は、主にこれまで順遺伝学的スクリーニングで同定した新規関連分子に関して、糖鎖修飾関連酵素の変異体解析を中心に研究を進めた。機能欠失変異体は、生育不全を示し、幼虫期に成長を停止した。一方、スクリーニングで同定した変異体は機能低下体と考えられ、生育・生殖は可能であるものの、重度の運動能の低下を呈した。神経細胞における表現型について蛍光タンパク質標識体を用いて検討したところ、Cav2とともにUNC-10/RIMなどのアクティブゾーンアダプター分子の局在異常が観察され、それらの表現型は加齢に伴ってより顕著になる傾向が認められた。Cav2は家族性反復発作性運動失調症の原因分子であり、自閉症をはじめ種々の精神神経疾患に深く関与する。また同定した糖鎖修飾関連酵素は遺伝性運動失調症の原因分子である。本研究のCav2局在関連分子に関する新たな知見は、それら疾患の分子的な理解と治療薬開発にも寄与するものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Cav2の新規な局在関連分子の同定と解析について研究成果が得られている。ただし前年度までの進捗遅延を含め、全体として当初計画に対して進捗状況との開きが生じたため、遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
新規Cav2局在関連分子について、本年度に引き続いて糖鎖修飾調節関連酵素に特に注力して解析を進める。関連する遺伝子変異体の表現型および遺伝学的相互作用解析によって、神経系における作用分子機序の理解を推し進める方針である。
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