研究課題/領域番号 |
20K07099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
野田 正文 広島大学, 医系科学研究科(薬), 特任准教授 (40457289)
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研究分担者 |
杉山 政則 広島大学, 医系科学研究科(薬), 共同研究講座教授 (30106801)
杉本 幸子 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (60549012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞外多糖体 / 抗アレルギー / 抗炎症 / 肝機能改善 / 腸内細菌叢 / プロバイオティクス / 乳酸菌 / 潰瘍性大腸炎 / 多糖類 / 自己免疫疾患 / 微生物薬品学 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、イチジクの葉から分離した乳酸菌Lactobacillus paracasei IJH-SONE68の産生する細胞外多糖体 (EPS) に、モデルマウスのアレルギー症状を有意に予防改善する作用のあることを見出した。さらに、予備実験において、本EPSには高肥満モデルマウスの肥満症状をも予防改善する作用を有することを見出した。 本研究では、IJH-SONE68株が産生するEPSのいかなる化学構造が抗肥満と抗アレルギー効果に寄与しているのかを解明すべく、EPSの化学構造の人工変異体の作製と生合成遺伝子の解析を通じ、EPS構造と生物活性との相関性を明らかにするとともに、作用機序を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、抗アレルギー作用と抗肥満作用の双方に対して有効性を示し、広く炎症を制御すると期待された乳酸菌IJH-SONE68株由来の細胞外多糖体 (EPS) に関し、その変異体を構築することで特徴解析を行うことを目的とした。 研究の結果得られた変異体 (M411) の産生するEPSの生物活性について解析を行った結果、親株よりも優れた抗アレルギー作用および肝機能数値改善作用を示した。 本変異株のEPS生合成遺伝子クラスターの遺伝子解析を行った結果、EPS生合成時に糖鎖を伸張させる働きを担う膜タンパク質群のひとつであるPce1Cに1アミノ酸置換を生じる点突然変異が生じていることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本株の産生するEPSには、並行して実施していた臨床研究によっても同様の改善効果が認められ、また糞便細菌叢の解析結果から、指定難病である各種胆管炎の症状と相関性を示すAnaerostipes属細菌およびVeillonella disparの存在比率を、本EPSの摂取が改善する事も明らかとなった。加えて、本EPSは潰瘍性大腸炎モデルマウスの症状を予防・改善することも確認できた。 本研究成果から、ヒトと共生関係にある腸内細菌叢を創薬ターゲットとして捉える意義について改めて示すことができたと共に、未だ難治性の疾患であるいくつかの指定難病に対する新たな治療法開発の可能性を提唱することができたと考える。
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