研究課題/領域番号 |
20K07133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野田 百美 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (80127985)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水素ガス / 虚血再灌流障害 / 中大脳動脈梗塞 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 高速液体クロマトグラフ / コエンザイムQ / 免疫細胞 / 医療ガス / 分子状水素 / 抗酸化ストレス / 神経保護作用 / 電子伝達系 |
研究開始時の研究の概要 |
酸素(O2)や一酸化窒素(NO)に続き、新しい医療ガスである分子状水素(水素ガス:H2)について、パーキンソン病モデルに続き、脳梗塞モデルを用いて、生理学、病態生理学、生物物理学的な解析を行い、予防医学におけるH2の効能、特に神経保護作用についてそのメカニズムを検証することである。主な検討項目は: 1)脳虚血・再灌流モデルにおけるH2の予防効果、2)グレリンを介した胃・脳連関の検討、3)グレリン産生細胞におけるH2のグレリンmRNA亢進のメカニズム、4)H2による抗酸化物質蓄積の解明、である。これらの解明によって、最も小さなガス分子によって医療費削減、健康長寿の延長に貢献できると期待される。
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研究実績の概要 |
卒中・脳梗塞と呼ばれる脳虚血・再灌流障害は、神経細胞体(灰白質)の障害に加え、神経軸索部分(白質)の障害が後遺症に大きく関与している。そこで白質のモデルとして用いたマウス視神経では、予めH2含有飲用水を投与したマウスから摘出した視神経がin vitroで虚血障害抵抗性を示したため、in vivoでも同様に虚血・再灌流による神経障害を予防できるのかを検討した。7日間H2水あるいは水道水(コントロール)を飲ませたマウスを用い、脳梗塞モデルを作成した。脳梗塞モデルは、中大脳動脈(MCA)梗塞90分後、再灌流を行い、24時間後に脳固定、梗塞巣を染色・観察した。7日間という期間が短かったのか、90分 という脳梗塞時間が長すぎたのか、H2水とコントロール群で、脳梗塞部位の面積に顕著な差は見られなかった。 酸化ストレス抵抗性のメカニズムをミトコンドリアのレベルで観察するため、Neuro2A細胞株(神経細胞モデル)およびヒト・ミクログリア細胞株(免疫細胞モデル)を用いて、ミトコンドリアを単離し、エネルギー代謝の変化を観察した。キノン(Q)結合チャンバーと呼ばれる場所でH2によって電子(e-)およびプロトン(H+)が提供されると仮定すると、キノンの還元型ユビキノールが増えると、電子伝達系が活性化され、ATP産生が亢進するというラット心臓で観察されたことと一致する。細胞をH2あるいはN2(窒素ガス:コントロール)でバブリングした培地で毎日培地交換を行い、その後、ミトコンドリアを単離し、HPLC(高速液体クロマトグラフ)で解析した。その結果、いずれの細胞種でも、H2群でコエンザイムQの増加が観察された。また、免疫細胞では、H2群で細胞数に変化はないものの、ミトコンドリアが減少することがわかった。
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