研究課題/領域番号 |
20K07166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 湘南医療大学 (2021-2022) 明治薬科大学 (2020) |
研究代表者 |
石田 洋一 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 准教授 (90510454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) / ペルオキシレドキシン 2 (Prx2) / 過酸化 / COPD / SAS / Prx2 / 過酸化型 / ペルオキシレドキシン2 / 過酸化型Prx2 / LC-MS/MS / プロテオーム |
研究開始時の研究の概要 |
慢性閉塞性肺疾患COPDは、タバコ煙を主とする有害物質を長期間吸入することで生じる肺の炎症性疾患である。COPDの発症や病態進展には、酸化ストレスが深く関与しており、肺から酸素を受け取り、全身を循環している赤血球には、酸化ストレス状態が良く反映されることが予想される。本研究では、赤血球に豊富に含まれる酸化還元酵素Prx2に着目し、その過酸化度を測定し、病態との相関性を調べることにより、その診断マーカーとしての臨床的意義を明確にする。更に、日常生活の中で、患者自身が簡易採血して病態を把握できるような、臨床現場のニーズに応えた診断法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの研究により、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) および閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) を対象として (コントロールとして健常者)、少ない検体数を用いてPrx2の過酸化状態を調べている。その結果、両疾患の患者赤血球中では、Prx2の過酸化が進行しており、バイオマーカーとして診断に利用できる可能性が考えられた。ただし、COPDとOSASを比較すると、OSASの方が著しい過酸化が起きている可能性が高い。さらにこの事に加えて、医療施設側の事情として、COPDの患者赤血球は、診療上採血を要する機会が少ない、また、COPDよりもOSASの検体の方が収集しやすいことから、2022年度はOSASの解析に注力することとした。 OSAS患者群 (N=32)または健常者群 (N=32) の赤血球から全タンパク質を抽出し、抗Prx2抗体または抗Prx2-SO2/3抗体を用いたウエスタンブロッティングにより、Prx2の過酸化度を調べた。その結果、健常者群に比べてOSAS群では、Prx2の過酸化度が著しく増加していることが分かった。また、OSAS群の過酸化型Prx2の測定値は、一般的にOSASの重症度の指標とされている無呼吸低呼吸指数 (AHI) と相関していることが分かった。さらに、OSAS患者群の過酸化型がスルフィン酸型 (-SO2H) とスルホン酸型 (-SO3H) のどちらなのかを明らかにするため、逆相HPLC解析を行った結果、OSAS患者赤血球中のPrx2はスルホン酸型 (-SO3H) 型にまで過酸化が進行していることが明らかとなった。以上の結果、赤血球Prx2の過酸化は、OSASの診断に用いられるバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が2021年4月1日に前職の明治薬科大学から湘南医療大学に移動して以来、2年間かけて研究環境の整備を進めてきた。しかし、主要な実験場所となる薬学部棟が完成したのが2022年2月で、そこから機器の搬入や研究室の整備を始めることになった。ようやく本研究に必要なウェスタンブロッティングやHPLCの実験ができるようになり、明治薬科大学 (分析化学研究室、小笠原裕樹教授) から技術指導を受けながら、2023年3月の段階で予備検討が完了した段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究の主な実験場所を明治薬科大学 (東京都清瀬市) から湘南医療大学 (横浜市) に変更するが、それに伴い検体の移動の問題が生じている。これまで共同研究を進めてきた複十字病院 (東京都清瀬市) からの検体の移動は、遠方であるため直接の受け取りが困難、マンパワー不足のため配送手続きが困難であり、このままでは研究の進捗に支障をきたすことが予想される (実際に現時点で支障をきたしている)。そこで、昨年度から、本学が属するふれあいグループの関連病院から検体を提供してもらう手続きを開始している。検体を提供いただく病院と担当医師が決定次第、倫理委員会の承認を得て、研究を再開する予定である。 研究内容としては、まずはOSASの解析結果が再現できるかどうか (Prx2の過酸化) を確認した上で、過酸化部位の同定 (質量分析計を用いた解析)、赤血球タンパク質のプロテオーム解析 (網羅的タンパク質発現解析)、網羅的翻訳後修飾解析を行う予定である。また、臨床検査キットの開発も目指しているため、ELISA系の構築にも取り組む。
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