研究課題/領域番号 |
20K07174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
石崎 純子 金沢大学, 薬学系, 教授 (60401890)
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研究分担者 |
小野 賢二郎 金沢大学, 医学系, 教授 (70377381)
山田 正仁 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80191336)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 高齢者 / ポリファーマシー / 認知機能 / フレイル / 薬剤師 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,まず,申請者が薬剤師として参加している2500人規模の地域高齢者を対象としたコホート研究「なかじまプロジェクト」で集積されているデータを用いて,認知症およびフレイルのリスク因子と考えられるポリファーマシーの特徴(薬剤数,疾患,作用機序など)とポリファーマシーとの関係を明らかにする.次に,薬剤師によるポリファーマシーへの介入が認知機能の低下およびフレイルを予防・改善するかを検証する前向き臨床研究を実施する.薬剤師の介入効果を確実に評価するため,コホート研究で得られた成果(薬剤評価項目や試験期間など)を前向き臨床研究の計画に反映させる.
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研究実績の概要 |
これまでに海外の抗コリン作用の評価基準を参考に、日本の医薬品添付文書情報より抗コリン作用の強さを評価できる基準を作成し、抗コリン作用薬の使用が認知機能低下のリスクとなる可能性を示した。今年度は、この基準の汎用性を示して一般化するため、抗コリン作用による代表的な副作用である便秘と総スコアとの関連を評価した。「便秘有り」は健診者の服用薬に便秘治療薬が処方されている場合とした。その結果、抗コリン総スコアと便秘治療薬使用にはスコア依存的な関連が見られ、本基準が日本で使用される医薬品の抗コリン作用の評価に有用であることが確認できた。 昨年度までに地域高齢者を対象としたコホート研究(中島町研究)の1クール分(2016~2018年度)、全2468名の結果より、認知機能やフレイルと関連のある薬効群はいくつか見出せた。今後の展開は、薬剤師による薬物療法への介入効果を臨床研究により評価することである。そのため、今年度は、薬剤師による介入方法を立案するため、関連の見られた薬効群について検討した。例えば、アンジオテンシン受容体拮抗薬の中で使用を推奨すべき医薬品、HMG-CoA還元酵素阻害薬の中で使用を推奨すべき医薬品など、具体的な医薬品の特定を目指した検討を行った。生活習慣病の高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療薬、泌尿器科用薬について解析したが、推奨できる医薬品・使用を控えるべき医薬品の特定には至らなかった。 コロナ禍で中島町研究の2クールめの実施が制限されたため、今年度より石川県内の野々市市と協働で「くすりと健康プロジェクト」を立ち上げ、「おくすりサロン」を全9回(のべ参加者136名)開催し、地域住民に対する啓発活動をとおして住民の持つ潜在的な薬物療法上の問題点について意見収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
社会活動が正常に戻りつつあるものの、本研究対象者は高齢者であることより、中島町研究の2クールめの実施回数・人数が制限され、当初予定していた1・2クールを比較する縦断研究を申請研究期間内に実施できなくなった。また、薬剤師が介入する臨床研究の立案を目指して、1クールめの結果より、生活習慣病の高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療薬、泌尿器科用薬について解析したが、推奨できる医薬品・使用を控えるべき医薬品の特定には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
フレイルや認知機能低下のリスクは、処方薬剤数が多いほど高いことは、以前からいわれており、本研究でも確認されている。当初は、フレイルや認知機能低下と関連する薬効群の中で、使用を推奨できる医薬品の特定を目指したが、この方針では困難なことが分かった。予備的検討で、処方薬剤数が多いほど睡眠導入剤の処方率が高くなる結果を得た。この要因を集積したデータより解析する、ならびに、地域住民への啓発活動をとおして住民が抱える潜在的な薬物療法上の問題点を明確化する。これによって、減薬を目指す臨床試験を立案・実施が可能になり、フレイルや認知機能低下の軽減につながることが期待できる。
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