研究課題/領域番号 |
20K07193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
西 弘二 崇城大学, 薬学部, 准教授 (00398249)
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研究分担者 |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
井本 修平 崇城大学, 薬学部, 教授 (20447189)
山崎 啓之 崇城大学, 薬学部, 教授 (30435143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膵臓がん / 一酸化窒素 / アルブミン / 細胞死 / がん治療 / オートファジー / ニトロ化合物 / フェニル酪酸 / 膵がん / NOラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
膵がんの化学療法の奏効率は他のがん種と比べると著しく低い。これは膵臓への薬物移行性の低さに加え、腫瘍周辺血管の血流不全、膵がん間質による薬物移行の阻害が原因と考えられている。そのため、NOラジカル放出型抗がん剤は、腫瘍周辺血管を拡張させ、血管からの薬物漏出を促進させるだけでなく、間質を攻撃することで腫瘍組織に到達することができると考えられる。さらに、アルブミン結合性を持たせることで、血中滞留性およびEPR効果を利用した腫瘍集積性を向上させることができる。そのため、本研究によるアルブミン結合性NOラジカル放出型抗がん剤の開発は、これまでの膵がん化学療法の奏効率の向上につながることが期待される。
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研究成果の概要 |
膵臓がんは、化学療法の奏効率が極めて低い癌腫の1つである。一酸化窒素(NO)は血管拡張作用に加えて、抗腫瘍効果を有することが知られている。本研究では、血中滞留性と腫瘍集積性を有するアルブミン結合性NO放出型抗がん剤の開発を目的として、フェニル酪酸のニトロ化体(Nitrated phenylbutyrate; NPB)を合成した。NPBは、ヒト膵臓がん細胞に対して細胞死を誘導し、腫瘍移植マウスにおいて、40日以上の抗腫瘍効果を発揮した。さらに、NPBの細胞死誘導効果は、オートファジー阻害によるものであることが示唆された。以上の結果より、NPBは膵臓がん有効な治療薬になることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵臓がんは、5年相対生存率が10%未満と他の癌腫の中でも最も低い。しかし現在までに有効とされている治療薬では十分な効果は得られていないため、新たな治療薬の開発が急務となっている。これまで、一酸化窒素(NO)を放出するニトロ化合物を、抗がん剤として利用するために様々な研究が行われてきたが臨床応用には至っていない。本研究で合成したNPBはin vivoにおいて長期的な抗腫瘍効果を発揮することが分かった。これは、これまで問題となってきたニトロ化合物の問題点を克服した結果とも考えられる。そのため今後さらなる検討を行うことで、将来的には膵臓がん治療の有効な治療薬になることが期待される。
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