研究課題/領域番号 |
20K07194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江田 岳誉 新潟大学, 医歯学総合病院, 薬剤師 (90772038)
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研究分担者 |
棗田 学 新潟大学, 脳研究所, 特任准教授 (00515728)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん代謝 / 膠芽腫 / AMPK / mTOR / タンパク質合成 / 細胞内飢餓 / タンパク合成 / glioblastoma / microenvironment / HIF-1 / glycolysis / metabolic reprogramming |
研究開始時の研究の概要 |
悪性神経膠腫の標準治療として、腫瘍摘出術およびテモゾロミド(TMZ)を用いた放射線化学療法が行われるが、複数の治療抵抗因子を有するため予後不良である。申請者は、膠芽腫細胞株を用いた実験で、既存薬クリンダマイシン(CLD)からmTOR活性阻害作用に基づく細胞増殖抑制作用を見出した。しかし、CLDの詳細な作用機序に関して未解決部分がある。本研究では、mTORシグナルと腫瘍維持間にあるクロストークを解明するため、細胞の飢餓時や低酸素応答時に誘導される代謝リプログラミングに着眼し、過酷環境に応答する因子を抽出を目指す。このような腫瘍増殖における代謝リプログラミングとmTORとの関連について調べる。
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研究成果の概要 |
膠芽腫に対する新たな薬物療法提示のため、細胞の飢餓による腫瘍制御の可能性について検討した。既存のSGLT2阻害剤canagliflozin投与により膠芽腫細胞の生存は低下した。この細胞上において、SGLT2は過剰に発現が認められることや、canagliflozinを用いた放射標識グルコースの取り込み実験から、細胞内グルコースの流入がcanagliflozinにより抑制されることから、細胞増殖抑制に栄養飢餓が関与することが判明した。また、canagliflozinの影響はmTORシグナル、タンパク合成活性において認められ、抗腫瘍作用はSGLT2を介した栄養飢餓シグナルによる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は未だ予後の改善されない膠芽腫に対する新規薬物治療の提示を目指して実施した。がんでは増殖維持のため栄養要求が高く、嫌気的解糖という代謝的特徴を有することが知られる。本研究ではがん細胞への特殊な栄養供給を絶つことを主眼におき新規治療について探求した。canagliflojinは悪性脳腫瘍細胞の増殖生存を抑制する。背景として飢餓シグナルの活性化や、増殖シグナルが抑制されることがわかった。この知見による増殖抑制の試みは他の癌種においても有効であると予測できる。また、既存の抗がん剤治療への相乗効果も期待できる。canagliflojinはまた承認済みであるので迅速に臨床応用が可能となる。
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