研究課題
基盤研究(C)
癌ゲノム医療の限界は、限られた種類の遺伝子変異パネルに依拠していることである。癌ゲノム医療を進展させるためには、更なる有用な遺伝子変異情報に加え、遺伝子発現パターン等の情報も加え、詳細に癌患者を層別化する必要がある。これを裏付けるのは、癌ゲノムデータ解析によって抽出した事象と癌との因果関係を証明することである。申請者は、癌ゲノムデータ解析を起点とし、PKCλ依存的な癌幹細胞における新規解糖系制御機構の存在を突き止めた。そこで、本申請研究において、未解決課題の解明に取り組み、複雑な癌幹細胞代謝機構の新たな側面を明らかにし、患者層別化に寄与することで、より精密な癌ゲノム医療の発展に貢献する。
新規解糖系制御機構(本機構)の詳細として、PKCλによる転写調節因子Xの直接リン酸化がプロテアソーム分解から回避することでXタンパク質の細胞内での安定化に関わること及び本機構がALDH1陽性乳癌細胞における解糖系とペントースリン酸経路の主要調節機構の一つであることを明らかにした。更に派生した研究成果として、本機構がALDH1陽性癌幹細胞の非対称分裂に関与することを明らかにするとともに乳癌の新たな層別化が進んだ。一連の研究成果は、癌幹細胞の糖代謝機構や薬物代謝機構の研究の進展に寄与するとともに、新たな癌のバイオマーカーや分子標的薬の開発に貢献する。
公共の癌ゲノムデータベース解析を起点にしてデータサイエンス手法(主に統計学的手法とバイオインフォマティクス)と癌生物学的手法を融合するかたちで研究を進めた。一連の研究成果は、乳癌の新たな層別化とともに、癌幹細胞の糖代謝機構や薬物代謝機構の研究の進展に寄与する。本研究で用いたアプローチはグローバルで蓄積しつつある公共のビッグデータや医療データの解析研究に新たな切り口を提供するとともに、癌の新たなバイオマーカーや分子標的の同定に役立ち、癌治療における新たな診断法や治療薬の開発に貢献する。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 5件) 図書 (6件)
Cells
巻: 11 号: 1 ページ: 70-70
10.3390/cells11010070
Oncol Lett.
巻: 22 号: 1 ページ: 547-547
10.3892/ol.2021.12808
Anticancer Res.
巻: 41 号: 12 ページ: 5959-5971
10.21873/anticanres.15415
Anticancer Research
巻: 41 号: 1 ページ: 43-54
10.21873/anticanres.14750
巻: 40 号: 5 ページ: 2777-2785
10.21873/anticanres.14250
PLOS ONE
巻: 15 号: 7 ページ: e0235747-e0235747
10.1371/journal.pone.0235747
Oncotarget
巻: 11 号: 18 ページ: 1653-1665
10.18632/oncotarget.27581