研究課題/領域番号 |
20K07237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉川 貴子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90727851)
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研究分担者 |
若松 義雄 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60311560)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 放射状グリア細胞 / 細胞周期因子 / mRNA / 進化 / 大脳皮質 / mRNA輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質の形成過程では、神経幹細胞として働く放射状グリア(RG)細胞が適切に増殖・分化し、多様なニューロンが産生される。細胞周期因子CyclinD2のmRNAはRG細胞の基底膜側突起の末端部まで輸送され、CyclinD2の3’UTR領域に輸送に必要な配列が存在する。この輸送配列は哺乳類の中でも有胎盤類にのみ保存されており、突起に輸送されるCyclinD2 が、有胎盤類の進化過程における大脳皮質の発達に貢献する可能性が考えられる。そこで本研究では、有胎盤類、有袋類および鳥類胚を用いて大脳皮質形成におけるCyclinD2 mRNAの輸送の役割を解析する。
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研究成果の概要 |
脊椎動物の脳は放射状グリア(RG)細胞の増殖・分化により形作られる。細胞周期因子CyclinD2のmRNAは3´UTR上の配列(CTE)依存的にRG細胞の基底膜突起末端まで輸送される。本研究ではCyclinD2 mRNAが突起先端部で局所翻訳された後、核内に移行して細胞周期を進める可能性を示した。CTE欠失マウスではCyclinD2 mRNAは輸送されず、大脳皮質が低形成となり、この現象が脳発生に重要であると考えられる。CTEは有胎盤類のみに保存され、鳥類や有袋類にはCTEが無くCyclinD2 mRNAも輸送されないことから、この現象が有胎盤類進化過程の大脳皮質発達に貢献した可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ヒトを含む有胎盤類の進化過程において、大脳皮質の拡大がどのようなメカニズムで起きたのかという未知の問いへアプローチすることを目的としている。本研究によって、独自に見出した神経幹細胞内CyclinD2 mRNA輸送の新たな生物学的意義を明らかにし、このユニークな機構が有胎盤類のみに存在することを発見した。本研究は、有胎盤類の脳進化メカニズムの一端を明らかにできた点で学術的意義がある。
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