研究課題/領域番号 |
20K07239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中野 知之 山形大学, 医学部, 准教授 (00333948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脂肪組織 / ジアシルグリセロールキナーゼ / 小胞体 / 脂質代謝 / 細胞内情報伝達系 / 脂肪滴 / 脂質合成・分解 |
研究開始時の研究の概要 |
脂質は小胞体で合成され、小胞体から出芽する脂肪滴に貯蔵される。脂肪滴において、脂質はトリグリセリド(TG)として貯蔵され、必要に応じて脂肪酸を遊離し、エネルギー源として利用される。よって、小胞体-脂肪滴は脂質代謝の主たる場として知られる。TGの代謝産物であるジアシルグリセロール(DG)は、二次伝達物質としても機能する。したがってDGは、脂質代謝と細胞内情報伝達のハブとして考えられる。本研究では、DGのリン酸化酵素DGキナーゼに注目し、小胞体-脂肪滴におけるDGを介した脂質代謝と細胞内情報伝達系のクロストークを解析する。
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研究実績の概要 |
本研究で注目しているe型ジアシルグリセロールキナーゼ(DGKe)は細胞内では小胞体に局在し、DG代謝を介したエネルギー代謝と細胞内シグナリングの両方を制御する酵素である。小胞体は新規脂質合成の中心的な場であり、本研究では、野生型およびDGKeノックアウト(KO)マウスを高脂肪食で180日給餌する動物実験および、単離した脂肪細胞を高濃度の脂肪酸添加条件で培養する実験を行ってきた。令和4年度は、前年度に引き続き高脂肪食負荷による動物モデルの解析を、特に鼠径部皮下脂肪および褐色脂肪組織を中心に行い、組織重量の変化や脂質代謝関連分子のタンパク発現に関して、興味深い知見を得て、その一部を国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初、COVID-19感染症の影響による教育カリキュラムの変更が原因で研究進行の遅れが生じた。令和2年度以降、遅れを取り戻すべく実験を遂行したが、KOマウスの供給が追い付かず、遅れを取り戻すには至っていない。令和4年度は、引き続き、野生型およびDGK-KOマウスを高脂肪食(HFD: High Fat Diet)で180日給餌した際の各種脂肪組織の解析を行った。精巣上体周囲白色脂肪組織(eWAT)、鼠径部皮下脂肪(sWAT)および肩甲骨間褐色脂肪組織(BAT)重量を摘出し、体重で補正する相対重量を算出したところ、eWATでは既報の通り、DGKe-KOマウスの相対重量はWTマウスを下回っていた(Nakano et al. 2020)。sWATについても同様にDGKe-KOマウスはWTマウスを下回ることが明らかとなった。一方、BATではDGKe-KOマウスはWTマウスを上回ることが明らかとなった。前述の結果から、HFD180日給餌条件において、DGKe欠損により、白色脂肪では、脂肪部位に共通して脂肪量が低下することが示唆された。一方、褐色脂肪組織では高脂肪給餌により、DGKe欠損条件では脂肪量が増加することが示唆された。前年までに、高脂肪食給餌条件における脂質代謝関連分子のタンパク発現に興味深い知見を得ており、現在、通常食給餌コントロ―ル群のウェスタンブロット解析に従事している。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では組織学的解析が不十分であると考える。180日のHFD給餌により、DGKe-KOマウスのBAT相対重量は増大する。この増大の原因を精査する目的で組織学的解析を中心に行う。なお、本プロジェクトは研究計画の延長を申請し、受理されている。延長申請に至った理由は、これまでの解析の結果から、HFDで180日間給餌下DGKe-KOマウスでは、精巣上体白色脂肪以外の脂肪において、興味深い知見を得た。このことにより、では既に報告している40日のHFD給餌条件で、同様に皮下脂肪や褐色脂肪で何が起こっているのかを解析する必要性を考えるに至った。よって再び40日給餌マウスモデルを作製し、解析を行う予定である。得られた結果は、本プロジェクト期間においてCOVID-19の影響で参加できなかった国際学会に出席・発表し、世界中の研究者のコメントを得て、さらにデータをブラッシュアップし、論文として発表する予定である
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