研究課題/領域番号 |
20K07247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
江頭 恒 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (40359964)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞死 / スポトーシス / 活性酸素種 / がん細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大気圧低温プラズマを照射した溶液を用いることによって発見された「これまで知られていない新しい様式の細胞死」がいかにして誘導され、また生体においていつ、どこで、何のために機能するかを解明する。そのため、我々は分子、細胞、及び個体レベルでの解析を実施する。これにより、アポトーシスなどの既知の様式とは異なる未知の様式をもつ細胞死が、必要に応じて機能するために、細胞に備わっていることを証明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、我々が最近、新発見した「これまでに知られていない新しい様式の細胞死であるスポトーシス」が誘導される分子機構と生命現象に果たす機能的役割を解明することを目的としている。アポトーシスなどのよく知られた様式の細胞死とは対照的に、スポトーシス研究は始まったばかりである。したがって、スポトーシスがいかにして誘導され、また生体においていつ、どこで、何のために機能するかについては、不明である。そこで、本研究で計画している具体的な研究内容は、Ⅰ. スポトーシスが誘導される分子機構の解明と、Ⅱ. この細胞死が生命現象における役割の解析を行うことである。 2021年度は、2020年度までに引き続き、スポトーシスを誘導する分子機構を調べた。その結果、2020年度までの研究で示唆された活性酸素種が、スポトーシスに特徴的な翻訳抑制因子Pdcd4の消失などの分子生物学的事象、細胞の委縮や膜透過性の増大、小胞の形成などの細胞生物学的事象とともに、細胞死を誘導する作用機序を明らかにした。また、スポトーシスを誘導できる化合物を見出した。現在、これらの研究成果をまとめた論文を投稿しているところである。さらに、正常な皮膚細胞と、それをがんプロモーターでがん化させた細胞を用いて、がん細胞におけるスポトーシスの機能的役割を調べた。その結果、スポトーシスががん細胞特異的に誘導される可能性を示した。スポトーシスを誘導できる化合物の投与条件のさらなる検討が必要であるが、がん治療の臨床応用に向けた大変興味深い結果が得られた。この研究成果を深化させるとともに、論文発表を準備しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スポトーシスの誘導機構に関しては、スポトーシスを起こすために引き金を引く活性酸素種の特定と作用機序を解明できているため。また、スポトーシスの生体における機能的役割に関しては、現在もスポトーシスを起こすことが必要である生命現象の探索を続けているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スポトーシスの生物学的役割と存在意義を理解するための研究を、当初の計画通りに、重点的に推進する。ただ、スポトーシスが生体においていつ、どこで、何のために機能するかを網羅的に調べる必要があるので、マウスを用いた組織化学的解析を精力的に行うために、実験をサポートしていただける人員を雇用する予定である。
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