研究課題/領域番号 |
20K07249
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
藤原 研 神奈川大学, 理学部, 教授 (00382945)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低酸素 / 下垂体前葉 / 細胞間相互作用 / 局所環境 / ラット / 内分泌 / ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
下垂体前葉は成長、生殖、恒常性の維持に重要な6種類のホルモンを分泌する内分泌腺である。そのため、ホルモン分泌の異常は重篤な内分泌疾患を呈する。低酸素状態は下垂体前葉のホルモンの合成・分泌に影響するものの、低酸素シグナルの受容機構及び作用機序は殆ど解明されていない。そこで本研究では、①ラット下垂体前葉内での低酸素応答細胞を組織学的に解析し、②低酸素シグナルの伝達機序、③前葉細胞への作用を解明する目的で研究を展開する。本研究は、下垂体前葉細胞の機能調節機構に新しい進展に寄与することが期待でき、さらに下垂体腫瘍に対する低酸素シグナルを標的とした新しい薬剤治療法の開発に向けた起点ともなる。
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研究実績の概要 |
本研究は①低酸素応答細胞の組織学的解析、②低酸素シグナルを介する細胞間相互作用、③低酸素シグナルによる細胞機能調節、について解析する。2021年度にラット下垂体腫瘍から樹立された成長ホルモンとプロラクチンを産生する細胞株であるMtT/SM細胞を下垂体前葉細胞のモデルとして、低酸素培養条件の確立と発現遺伝子解析を行った。本年度は、その条件を用いて、ラット下垂体前葉の初代培養細胞系で正常細胞での低酸素応答遺伝子の同定を行った。まず、成獣雄ラットの下垂体前葉を摘出し、トリプシン、コラゲナーゼ、EDTA処理により単離細胞を得た。細胞を35 mmシャーレに播種し、通常酸素濃度で48時間の培養を行い、その後通常酸素濃度または10%酸素濃度それぞれで24時間の培養を行った。細胞からRNeasy Mini kitを用いてRNAを抽出した。このRNAを鋳型として逆転写反応によりcDNAを合成し、PCRを行ったところ、通常酸素濃度および10%酸素濃度で培養したいずれでもHIF-1αが発現していることが確かめられた。続いて、上記の酸素濃度条件下で下垂体前葉単離細胞を培養したのち、それぞれの酸素濃度で発現する遺伝子をRNA-seq解析で比較した。RNA-seq解析は日本ジーンウィズ社に委託した。その結果、10%酸素濃度で培養することで通常酸素濃度培養よりも2倍以上有意に増加するもしくは減少する遺伝子を同定することに成功した。今後、これら遺伝子が下垂体前葉のどのような細胞種で発現し、低酸素条件下で下垂体細胞の機能にどのような役割があるかを調べる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はCOVID-19感染の対応により研究試薬や機器の調達に遅れが生じた。また、所属学部のキャンパス移転があり、2022年12月から2023年3月の期間で研究室および共通実験室を閉鎖したため、実験を停止せざる終えなかった。このような状況で、計画していた研究を十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究進捗状況にやや遅れが生じているが、計画研究の大きな変更はない。2021年度にin vitroで低酸素環境を作ることが可能な培養器を用い、下垂体前葉の株化細胞を使って低酸素環境下での発現遺伝子をRNA-seq解析により解析することができた。2022年度に、ラット下垂体前葉の初代培養細胞系を用いて同様の実験をおこなうことができ、正常な細胞を低酸素濃度で培養した際の発現遺伝子をRNA-seqにより明らかにした。今後は、これまで得られた株化細胞と初代培養細胞とで低酸素に応答する遺伝子群を解析していく予定である。
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