研究課題/領域番号 |
20K07258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤井 拓人 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50567980)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 小胞体 / K+ポンプ / カルシウム / 小胞体ストレス / カリウムポンプ / P型ATPase / Ca2+シグナリング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで未解明である小胞体から細胞質へのK+汲み出し機構に関与する候補分子として、新たにK+ポンプとして機能することを見出したER-ATPase(仮称)に着目する。ER-ATPaseは、構造からP型ATPaseと推定されるが、これまで発現や生理機能は不明である。ER-ATPaseであれば、濃度勾配に逆らってK+を小胞体から細胞質へ能動輸送することが可能である。本研究は、1)ER-ATPaseの小胞体におけるK+汲み出し機構およびその制御メカニズム、2)小胞体Ca2+シグナリングにおける生理的意義、3)ER-ATPaseの機能破綻による病態発症機構の解明を目的とし、K+ポンプの関与する小胞体Ca2+シグナリング制御機構という新規概念の実証を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、小胞体に発現する膜輸送タンパク質(ER-ATPase)の生理機能の解明を目的とした。ER-ATPase過剰発現細胞では小胞体のK+輸送活性が有意に増加した。ER-ATPaseノックダウン細胞では小胞体内Ca2+レベルが有意に増加した。ER-ATPaseをノックダウンすることで細胞増殖能が有意に低下し、ER-ATPaseの発現レスキューにより増殖能は有意に回復した。またER-ATPaseノックダウン細胞において小胞体ストレスマーカーであるGRP78の発現が有意に増加した。以上より、ER-ATPaseは小胞体K+ポンプとして機能しており、小胞体Ca2+動態に重要であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、小胞体においてK+ポンプとして機能する膜輸送タンパク質ER-ATPase(仮称)を見出し、小胞体Ca2+動態における生理的役割を明らかにした。本成果は、「新規K+ポンプの関与する小胞体Ca2+シグナリング制御機構」という細胞恒常性維持機構の新規概念につながることが期待される。生命活動における小胞体Ca2+シグナリングの重要性から考えて、本研究の学術的意義および多くの研究分野への普遍的波及効果は高い。またER-ATPaseの機能低下が、様々な病態発症に関与する小胞体ストレスを引き起こすことから、今後の研究により新たな病態発症機構が解明されることが期待される。
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