研究課題/領域番号 |
20K07265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
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研究分担者 |
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80234681)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 育児行動 / オキシトシン / 母乳 / ネグレクト / CIN85 / プロラクチン / 乳汁 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
育児放棄(ネグレクト)の発生/発症のメカニズムはほとんど解っていない。最近申請者らは、育児行動の発現には胎児期に母体からの下垂体前葉ホルモンであるプロラクチン (Prolactin, PRL) シグナルが必要であると報告した。 本研究はこの発見に基づき、分娩後の乳汁成分に存在する育児行動やネグレクトを誘発させる機能分子の同定と胎児期におけるPRLシグナルの胎児脳へのエピゲノム修飾の解析を行いネグレクトを抑制させる分子の作用機序の解明を目指す。さらにPRLやオキシトシンを加えた人工乳を摂取させることにより臨床栄養学的に将来のネグレクトを回避できる可能性を探る。
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研究成果の概要 |
育児行動発現に必要と思われるオキシトシン (Oxt) の授乳中の濃度の変化をELISAで測定した。分娩8日から12日にかけて母乳中のOxt濃度は有意に高値を示した。この上昇は次世代の育児行動の発現に必要であると考えている。 母乳中のOxtの育児行動発現への影響を調べるためOXT抗体を使って母乳中のOXTの約70%を除去した低OXT母乳を作成した。低OXT母乳で人工哺育した新生仔は分娩後、仔への育児行動が強くネグレクトすることを見出した。この低Oxt母乳にOxtを添加した母乳で哺育された雌マウスは有意にネグレクトを回避した。 母乳中のOxtは次世代の育児行動の発現に必要であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
次世代の育児行動の発現に内分泌物質であるホルモン (Oxt) が、母乳中に外分泌されることが必要であるという研究結果を通して、内分泌物質が外分泌される生理学的理由の一つを明らかにできたことが、本研究の学術的意義である。 育児放棄(ネグレクト)は社会的に重大なインシデントであるにも関わらず、発生事例や現象の羅列、社会的な機構の不備を指摘しているだけに過ぎず、分子基盤や発生メカニズムは未だ明らかでない。本研究では、母乳中のOxtが次世代の育児行動の正常な発現に必要であることを明らかにした。Oxtシグナルの破綻によるネグレクトの発生とその回避の方途を示せたことが社会的意義である。
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