研究課題/領域番号 |
20K07268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
佐々木 真理 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80435817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 膜電位 / イメージング / ERK |
研究開始時の研究の概要 |
膜電位とは細胞内外のイオン組成の違いに基づく、細胞内外間での電位差のことであり、神経細胞に限らず、すべての細胞が有している。膜電位は、長年神経科学やイオンチャネルの研究分野で研究対象となってきた。一方、細胞生物学の分野では、細胞内シグナルの研究が盛んに行われてきたが、膜電位は無視された存在であったと言えよう。 本研究では、細胞の増殖能と膜電位との関係に焦点を当て、膜電位が、分子シグナルをどのように制御しているかイメージング技術を駆使して明らかにする。
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研究実績の概要 |
膜電位とは細胞内外のイオン組成の違いに基づく、細胞内外間での電位差のことであり、神経細胞に限らず、すべての細胞が有している。本研究では、この膜電位が、細胞内分子シグナルをどのように制御しているかイメージング技術を駆使して明らかにすることを目的としている。 昨年度までに、脱分極するとERKが活性化するということを、細胞外カリウム濃度を変化させる方法および電気生理学的手法により明らかにした。本年度は、ERKの上流を明らかにし、電位依存的なERK活性化のメカニズムを明らかにした。ERKの上流であるMEK,cRafが脱分極で活性化することをウエスタンブロットによって、昨年度までに明らかにしていたが、本年度は論文投稿にむけて、実験回数を重ね、精度を上げる実験を行った。さらに、cRafの上流のRasも脱分極によって活性化することを、新たなにRas活性を測定する蛍光プローブを入手してイメージングにより明らかにした。フォスファチジルセリンの動態もイメージングによって明らかにし、本年はこれらをまとめて国際学会で発表した。 また、個体レベルでの検証を行うために、蛍光膜電位プローブを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュラインを昨年までに樹立したものの、蛍光観察が難しいことが明らかとなっていた。本年は、新たに共通機器として、大学へ導入された蛍光寿命顕微鏡を用いて観察したところ、プローブの蛍光を確認することができた。今後、刺激依存的な膜電位変化をとらえることを目標として、実験を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞レベルの実験はおおむね順調に進み、国際学会を含む複数の学会で発表を行った。また、これらの結果をまとめて論文を執筆し、現在査読中である。一方、昨年度、イメージングのセットに電気生理のセットを組み、光遺伝学をできるように装置を組んだが、チャネルロドプシンを発生初期に発現する魚のライン化がうまくいかなかった。チャネルロドプシンを全身に発現させたことによる悪影響があったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに脱分極によって、ERKが活性化することをメカニズムも含めて明らかにすることができたが、その生物学的な意義については、不明なままである。次年度は、細胞の増殖能とのかかわりを調べるために、膜電位と細胞周期の関連を調べる予定である。昨年度の終わりになり、大学の共通機器として、長時間タイムラプスができる顕微鏡が導入された。これをもちいて、膜電位依存的なERK活性が細胞増殖能へ果たす生理的意義について、明らかにしていく予定である。
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