研究課題/領域番号 |
20K07293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50274064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ドキソルビシン / 心毒性 / ゼブラフィッシュ / 受容体 / グレリン |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤ドキソルビシンは、現在でも悪性リンパ腫はじめ多様な腫瘍の化学療法で用いられているが、心臓毒性が問題となる。 私共は、グレリンがドキソルビシンによる心筋細胞の細胞死を抑制することを報告し、このグレリンの作用を利用すれば、ドキソルビシンの心毒性を軽減できると考えている。 グレリンはペプチドで、内服ではなく、注射を繰り返す必要がある。そこで、グレリンの代わりにグレリン受容体を刺激する経口投与できる薬剤を検索するため、グレリンと特異的に結合する新規グレリン受容体膜たんぱく質を同定した。今後、グレリン類似の作用を示す分子を見出し、がんの治療で困っている人達に役立つことを目的としている。
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研究成果の概要 |
ドキソルビシンは多くの悪性腫瘍に使用される抗がん剤だが、致命的な心不全へと進行することが知られている。我々は、ラット心筋由来のH9c2細胞をドキソルビシンで処理したときの細胞毒性をデスアシルグレリンが抑制することを見出してきた。我々はデスアシルグレリンと相互作用するタンパク質DAGRを見出したが、そのKd(解離定数)は200~1000nM程度であった。デスアシルグレリンはH9c2細胞には結合したが、DAGRノックアウト細胞株には、結合しなかった。DAGRのノックアウトマウスを作製して、心筋組織を採取してリアルタイムPCRや免疫染色を行ったところ、心筋でのDAGRの発現の消失を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多数の新しい分子標的薬が実用化され、がんの化学療法は新時代を迎えたと言って良い状況であるが、依然としてドキソルビシンなど古典的な抗がん剤も標準治療として使用され続けている。ドキソルビシンの副作用である不可逆的な心不全を軽減して化学療法を行えれば、化学療法を受ける多くのがん患者にとっては、安全な化学療法を十分に行えるという利点がある。今後、デスアシルグレリンの心不全予防効果の分子機構が明らかとなり、その受容体を刺激する手段が見つかれば、ドキソルビシンと併用してその心毒性を抑える補助療法への開発に発展させられる可能性があり、将来的な意義は大きいと考えられる。
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