研究課題/領域番号 |
20K07295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
松永 慎司 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30704910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 腫瘍微小環境 / 低酸素誘導因子 / 自然免疫 / 腫瘍 / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織内は脆弱な血管が不規則に走行し血流に乏しい。そのため、低酸素、低栄養環境とともに薬物送達も悪い組織環境である。申請者はマウス腫瘍移植モデルにおいてプロリル水酸化酵素 (PHD) 阻害薬の投与により、腫瘍内血管の新生・再構築が生じ、組織環境が改善すること、同時に直接的に腫瘍内マクロファージが活性化され、腫瘍増大を抑制するが、腫瘍増大に寄与しているとされるマクロファージがPHD阻害薬の投与によってどのような分子機序により腫瘍抑制性に変化するのか、その詳細は明らかとなっていない。本研究では、PHD阻害薬により腫瘍内マクロファージが腫瘍抑制性の表現型に変化する分子機構を解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では腫瘍移植モデルマウスに対しプロリン水酸化酵素(PHD)阻害薬の投与により、腫瘍内マクロファージ(MΦ)による腫瘍増大抑制が生じる機序の検討を行った。PHD阻害薬の投与により腫瘍組織内MΦのHIF-1αが優位になることが腫瘍増大抑制に関与することが示唆された。HIF-1αが優位になることは貪食能の亢進や、炎症性サイトカインの発現上昇を誘導すると考えられた。また、HIF-1α 優位なMΦに誘導され、かつ腫瘍抑制に関与する候補遺伝子を見出し、腫瘍抑制に寄与することが推察された。PHD阻害薬による腫瘍抑制機序の一端として、HIFを介してこの遺伝子の発現上昇が生じると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般的にHIF-1αは腫瘍進展に働くとされるが、本研究成果からは生体内において、マクロファージHIF-1αの優位な発現は腫瘍抑制性に作用することが示唆された。PHD阻害薬の腫瘍への影響の一端を明らかにしたと考える。また、治療抵抗性腫瘍などマクロファージ多く存在する癌種ではHIF-1αを優位にすることが治療戦略の1つ候補となる可能性が考えられる。また、HIF-1α下流の遺伝子がその腫瘍抑制に関与していることが示唆されたことから、今後これらの遺伝子機能についてその詳細を解析することで、腫瘍内マクロファージによる腫瘍抑制機序の一端が明らかになるものと考えられる。新規の創薬標的に繋がるものと考える。
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