研究課題
基盤研究(C)
軟骨損傷は通常では自然修復しないが、軟骨細胞シートを軟骨損傷部へ移植することにより、硝子軟骨の再生が促進される。細胞シートの軟骨再生促進機序の解明は軟骨損傷の根本的な治療法の開発につながる可能性がある。これまでに軟骨細胞シートの有効性と相関を示す複数の分泌因子を同定しているが、これら因子の軟骨再生促進作用における機能は明らかでない。本研究では、これらの因子の過剰発現による細胞シート機能の変化やノックアウトマウスの解析、関節内投与による軟骨損傷モデルに対する作用の検討を行うことにより、細胞シートの硝子軟骨再生促進メカニズムにおける寄与を明らかにする。
軟骨細胞シート移植による関節治療は、通常自然修復しない硝子軟骨の再生が確認された画期的な治療法である。硝子軟骨の修復・再生には軟骨細胞シートから分泌される因子が寄与していると考えられており、軟骨細胞シートが産生する因子の網羅的な解析から、軟骨再生効果と産生量が相関する4つの因子を同定した。これらの因子には軟骨損傷治療薬としての可能性があることから、本研究では、各因子の硝子軟骨再生効果における機能を明らかにするため、軟骨分化に対する作用および平面培養時の細胞機能に対する作用を解析し、これらの因子がそれぞれ異なる方向に軟骨細胞分化を修飾することを明らかにした。
軟骨が損傷し痛みを生じる変形性膝関節症の罹患率は高く、高齢者の健康寿命を縮める要因となっており、低侵襲の治療法開発が喫緊の課題である。しかし、変形性膝関節症をはじめとする軟骨損傷に対する修復効果が実証され、臨床応用された薬剤はない。細胞シートによる関節軟骨再生では、硝子軟骨による再生が得られており、この作用機序を模倣し硝子軟骨再生に関わる因子を薬剤として応用することで変形性膝関節症の軟骨欠損に対しても有効な新規治療法につながる可能性がある。本研究は、同定された硝子軟骨再生にかかわる因子の作用機序を応用した軟骨再生促進薬の開発に寄与するものである。
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