研究課題/領域番号 |
20K07305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
及川 司 北海道大学, 医学研究院, 講師 (20457055)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | H3.1 / p53 / H3K27me3 / ヒストンH3.1 / 核膜脂質 / ヒストンH3 / EZH2 / 上皮-間葉転換 / replication |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、p53が上皮性を保障する新しい機構を明らかにした(Oikawa et al., Sci Rep, 2018)。その後の研究から以下のことが示唆された。(1)p53は複製期のヒストンH3インタラクトームからEZH2を排除するが、これは核膜近傍における局所的なイベントである。(2)この過程の破綻は、E-cadherin(CDH1)遺伝子を含む限られた遺伝子領域のH3K27me3増加に至る。本研究は、これらの新しい知見に焦点を当て、その分子的基盤とともに、上皮性維持と破綻への関与を明らかにするものである。
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研究成果の概要 |
がん抑制遺伝子産物p53は上皮性維持に関与するが、これはp53により転写誘導されるmicro RNAsが介在するとされてきた。一方、上皮性の頑強性に関わるp53の機能には、多様性が存在することも示唆されていた。本研究から、p53が存在しない状況では核内においてジアシルグリセロールに比べフォスファチジン酸が増加し、DNA複製期依存性ヒストンH3バリアントH3.1が核内へ侵入する際、核膜近傍領域に蓄積し、そこで異所性にリジン27トリメチル(H3K27me3)化された。従って、p53は上皮性遺伝子発現調節領域においてH3K27me3化を抑制することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
p53は上皮細胞の分化形質の維持において重要な働きをする。その機構として、p53が発現誘導するmicro RNAsを介し、上皮間葉転換に関連した遺伝子発現変化を引き起こす転写因子(ZEB1, SNAI1など)の発現が抑制されることが重要であるとされてきた。しかし、p53喪失は上皮性を失わせる場合がある一方、そうでない場合もある。さらに、線維芽細胞などの間葉系細胞においてもp53は発現しているが、ZEB1等が常に発現し、上皮性は認められない。従って、細胞の分化形質維持におけるp53機能について我々の理解は十分とは言えず、本研究による成果はこの点で我々の理解を拡大するものである。
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