研究課題/領域番号 |
20K07309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021) 名古屋大学 (2020) |
研究代表者 |
簗取 いずみ 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40454847)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CD63 / 鉄応答性制御 / フェリチン分泌 / 鉄シャペロン / 鉄代謝 / 鉄輸送体 / 鉄 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでの鉄シャペロン分子と鉄輸送体の関係を明らかにしてきた研究を発展させ、鉄の主な利用部位であるミトコンドリアや小胞体への鉄分配機構を明らかにすることを目標に研究を行う。さらに、鉄を最も積極的に利用する赤芽球系細胞における鉄シャペロン分子の機能解析を行うことで、赤芽球細胞成熟過程における鉄代謝機構の解明を試みる。細胞内に取込まれ、鉄シャペロン分子に捕捉された鉄イオンがミトコンドリアや小胞体等の細胞内小器官に運ばれる機序についてはほとんどわかっていない。本研究では、細胞は如何にして、鉄イオンを安全かつ正確に細胞内小器官に輸送しているのか?を問いに研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、二価鉄が細胞質ゾル内を安全な形で目的のタンパク質・細胞内小器官へと輸送される仕組みを解き明かし、酸化還元・呼吸をはじめとする細胞の生命活動の根源的テーマに取り組むものである。鉄シャペロン分子PCBPsは、細胞内鉄貯蔵タンパク質フェリチンへと鉄を輸送する。細胞は鉄過剰時に速やかにフェリチンを細胞外へと分泌することから、臨床的に血清中のフェリチンの増減は体内の鉄量測定方法として広く利用されている。しかし、フェリチンの細胞外分泌機構の詳細は不明のままであった。細胞内小器官への鉄輸送機構を解析する過程にて、細胞外小胞がフェリチンの分泌に重要であることを見出すことに成功した。 細胞外小胞は脂質二重膜に囲まれた小胞で、DNA、RNA、タンパク質、脂質などを他の細胞に受け渡すことで、 一細胞レベルを越えた様々な細胞間情報伝達を担うことで注目されている。細胞外小胞はヘテロ集団であるものの、共通して存在する分子もある。テトラスパニンの一つであるCD63は細胞外粒子のマーカー分子として利用される分子の一つであり、細胞外粒子に比較的共通して存在する。本研究にてCD63の5'mRNAには鉄濃度依存的にmRNAの発現を制御するiron responsive elementが存在し、iron response proteinsの結合によりその発現が制御されることが明らかとなった。フェリチンからの鉄のリサイクルには、NCOA4をアダプター分子として利用するオートファジーの一種であるフェリチノファジーが重要である。そこでNCOA4の発現を抑制すると、CD63陽性小胞へのフェリチンの輸送が有意に減少することを認めた。すなわち、フェリチンはフェリチノファジーと同様の機構を用いてCD63陽性小胞へと輸送されており、本研究において細胞外へとフェリチンを分泌する新しいメカニズムを見出すことに成功した。
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