研究課題/領域番号 |
20K07325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高津 宏之 京都大学, 薬学研究科, 研究員 (70360576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ATP8B2 / 知的障害 / フリッパーゼ / ATP8B1 / ATP11C / ホスファチジルコリン / リン脂質 / P4-ATPase |
研究開始時の研究の概要 |
重篤な知的障害の患者の網羅的遺伝子解析からATP8B2の変異が原因と考えられる患者が複数存在することが明らかとなった。そこで、ATP8B2の発現分布を定量PCRで解析したところ、マウスでは脳で特に高発現していることが判明した。このことは、知的障害とATP8B2の間に何らかの相関があることを強く示唆した。 はたして本当にATP8B2の機能欠損が知的障害の原因なのか?分子レベルで見た時にどのようなことに起因した機能欠損なのか(転写・翻訳・分解)?細胞レベルで起こる機能欠損が、組織レベルでのどのような生理現象の異常を引き起こし、知的障害に結び付くのか? 本研究では、こうした疑問点を解明する。
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研究成果の概要 |
重篤な知的障害の患者の網羅的遺伝子解析から、3つのATP8B2の変異が見出された。知的障害患者から見出されたATP8B2の変異は、R549Q、G759S、N817Sの3つであり、いずれの残基も他のP4-ATPaseでもよく保存されていることが判明した。そこで、その発現細胞を作製した。各変異体の細胞膜への局在に異常は見られず、シャペロン様のタンパク質CDC50Aとの結合も野生型とほぼ違いは見られなかった。ATP8B2の変異体発現細胞のうちGS変異およびNS変異では、ホスファチジルコリンに対するフリッパーゼ活性がほとんんど欠失していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
知的障害患者の網羅的遺伝子解析から明らかになったATP8B2の変異は、遺伝性の知的障害の原因遺伝子の一つとして新たにATP8B2をクローズアップした。医学的見地からも、細胞生物学的立場からも、全く新しい展開であり、ATP8B2の膜脂質の動態制御と知的障害発症の相関を世界で初めて明らかにするものである。また、本研究により、ATP8B2で見出された変異が、P4-ATPase全般のフリッパーゼ活性に共通の重要な残基を新たに明らかにした。このことは、分子生物学のみならず、構造生物学的にもとても興味深い点であり、今後のフリッパーゼの研究において重要な知見を与えるものと考えている。
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