研究課題
基盤研究(C)
本課題では異なるCHCHD2変異が異なる神経変性疾患を招く分子機序の解明を目指す。具体的には、パーキンソン病(PD)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因となる2種類のミスセンス変異が示す表現型や神経のミトコンドリア機能におよぼす影響を、動物モデル(ショウジョウバエ)、培養細胞を用いて詳細解析する。CHCHD2のホモログCHCHD10はALS-FTLDの原因遺伝子である。CHCHD10はCHCHD2変異を原因とするPDの進行に影響すると報告されている。両分子はヘテロ二量体をとることから、PDとALS両疾患の発症にCHCHD2とCHCHD10とが密接に関わることが示唆され、その理解に貢献する。
晩発性パーキンソン病(PD)原因遺伝子CHCHD2の新たなミスセンスバリアントが筋萎縮性側索硬化症(ALS)症例で見つかった。CHCHD2 ALSバリアントは、PDバリアント同様、CHCHD2ノックアウトハエのミトコンドリア変性を改善できず、病因性変異であることが示唆された。ALSバリアントは細胞質へ局在する傾向があり、さらにミトコンドリアのCa2+緩衝能力が低下し、カルシウム毒性が起こる可能性が考えられた。一方、PDバリアントはミトコンドリア内で凝集し、結合パートナーCHCHD10とともに不溶化することが明らかになった。これらの性質の違いが異なる神経変性疾患の発症要因となることが示唆された。
パーキンソン病(PD)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)は神経細胞内に異常タンパク質の封入体が認められる神経変性疾患である。これら2つの神経変性疾患については多くの原因遺伝子が同定されているが、同一の遺伝子がPDとALSの両方の原因となる例はCHCHD2が初めてである。一つの遺伝子が2種類の神経変性疾患の原因となる分子機序を明らかにすることにより、両疾患の共通の創薬標的を同定することに繋がると期待される。
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https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/parkinsons_disease/index.html
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