研究課題/領域番号 |
20K07380
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
菊地 良直 帝京大学, 医学部, 准教授 (90512260)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | がん微小環境 / がん関連線維芽細胞 / 播種 / 大腸癌 / 胃癌 / 中皮間葉転換 / ペリオスチン / 胸腔洗浄液 / 癌関連線維芽細胞 / 癌微小環境 / エクソソーム / pre-metastatic niche |
研究開始時の研究の概要 |
癌の転移には癌細胞が転移する周囲の環境、つまり「癌微小環境」が重要であるが、転移様式の1つである播種に関しては、そのメカニズムは明らかにされていない。本研究は播種微小環境の解明が目的である。近年、播種微小環境では体腔表面を覆う中皮細胞が間葉系細胞に移行する「中皮間葉転換」という現象が注目されており、本研究では卵巣腫瘍、消化器癌、肺癌等を対象に、臓器横断的に原発巣の漿膜浸潤部と播種巣の中皮間葉転換を組織化学的に検討する。さらに体腔の細胞診断材料から、中皮間葉転換を誘導する因子を解析する事により、播種予測因子の同定、さらには予防および治療法の開発を目標とする。
|
研究実績の概要 |
これまでの研究成果から、原発巣および播種層の漿膜下層に浸潤する腫瘍細胞のがん微小環境においては、中皮細胞からがん関連線維芽細胞(以下CAF)が誘導される中皮間葉転換(以下MMT)が非常に重要であることが示唆された。しかしながら、病理組織標本上のMMTの検出マーカーは中皮細胞由来のcalretininに依存しているため、MMT領域と判定している領域のCAFが中皮細胞と関係なくcalretininを発現している可能性を除外する必要がある。CalretininをマーカーとしたMMT誘導領域の判定の妥当性を検証するため、空間トランスクリプトーム解析を行う方針とした。これにより漿膜表面の中皮細胞とこれに連続するcalretinin陽性のCAFの発現遺伝子を網羅的に解析し、pseudotime analysisによって、calretinin陽性のCAFが中皮由来といえるかを検討する方針とした。空間トランスクリプトーム解析により、現在6000遺伝子相当の解析が可能となった。大腸癌および胃癌において腫瘍細胞が漿膜面に露出する原発巣および播種巣の病理組織標本をcalretininの免疫染色を用いて再評価し、空間トランスクリプトーム解析に適した切片を選別した。近日中に大腸癌および胃癌の原発巣および播種巣における空間トランスクリプトーム解析を実施予定である。 播種巣のMMT誘導による免疫抑制微小環境に関しては、MMTを誘導した中皮細胞株(MET5A)とT細胞を共培養し、Tregの誘導を確認する実験を行う方針としている。現在、実験に用いる細胞株を培養し、共培養実験の適切な条件を検討している。 既に解析結果が得られている内容まで、論文化の準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画段階では予定していなかったが、本研究におけるMMT誘導の解析方法の妥当性を検証するため、空間トランスクリプトーム解析を行う方針とした。空間トランスクリプトーム解析が実施可能となるまで、予算の使用を一時抑えた。本研究におけるMMTの解析には当初市販されていた1000遺伝子相当の解析では十分な情報が得られないため、以前から予定されていた6000遺伝子相当の発現をみるキットの販売を待ち、条件を検討する必要があった。
|
今後の研究の推進方策 |
空間トランスクリプトーム解析によりMMT誘導を証明する。また、MMTが誘導された中皮細胞とTリンパ球の共培養実験によるTregの誘導を確認する。以上の結果を踏まえ、論文にまとめる。
|