配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究開始時の研究の概要 |
AYA世代にも発症する希少腎がんは, 罹患者が少ないうえ確定が困難なため, 多数例での臨床病理学的検討は国際的にも数少ない. 本研究ではBHD-RCC, TFE3融合腎がん, HLRCC関連腎がんを対象に,ゲノム変化を含めた詳細な遺伝子病理学的検討を行い, 治療に有用な分子標的情報の創出を目指す. 遺伝性腫瘍が疑われる被験者に対する遺伝学的検査と腫瘍解析の相談件数は時代と共に増加した. 疾患によって生物学的悪性度は全く異なり, 診断や治療時期が遅れるとQOLに大きく影響する.病理学的解明と治療標的研究を進め, 希少腎がんから患者を守る仕組みの構築と, WHO改訂に提言できる成果を目指す.
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研究実績の概要 |
AYA世代にも発症する希少腎がんのなかで, 原因遺伝子と疾患概念が確立し, 生殖系列病的バリアント情報集積が進みつつあるBirt-Hogg- Dube(BHD)症候群と遺伝性平滑筋腫症-腎細胞がん症候群(HLRCC)を中心に分子病理学的研究を行った. HLRCC関連腎がん(HLRCC-RCC) は高悪性度で極めて予後不良だが, 医療関係者間の周知度が低く, 散発性type2乳頭状腎細胞癌との形態学的鑑別が困難で, 本邦の疫学研究はまだ殆どない. 全国医療機関の泌尿器科医, 病理医らと共同研究を行い, 10家系10名から切除されたHLRCC-RCC13検体について, 罹患者の病的バリアントや腫瘍の臨床病理学情報をまとめた. 海外では報告されていない病的バリアントを有し, 全て異なるパターンであった. うち2例でコピー数解析も行ったところ, 原因遺伝子FHのある1q43をカバーするように1番染色体長腕の広範囲で片親性ダイソミーが起こっていた. 更に2番染色体短腕の増幅も共通していた. これらの結果を国際誌に発表した. HLRCC-RCCに有効な治療法に関する情報はまだ殆どないが, 1名の進行癌患者に免疫チェックポイント阻害剤を投与し, 31週後に完全寛解を得たため, 診療や病理学的所見の詳細について報告した. BHD症候群では三主徴である肺嚢胞, 腎細胞癌, 皮膚腫瘍以外にも様々な腫瘍や代謝性疾患やとの関連が示唆される. 代表者らは自験例で脳出血や血気胸など出血性疾患が低頻度あることからFLCN機能と脈管形成との関連を想定していた. 今回モデル動物を用いた共同研究に参加し, 肺におけるリンパ管内の血液流入を同定し, 静脈(V)とリンパ管(L)の分化異常につながるデータを得た.肺嚢胞発症とL-V mixingの関連について今後更なる解明が期待される.
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