研究課題/領域番号 |
20K07433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐藤 文孝 近畿大学, 医学部, 講師 (30779327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 動物モデル / Th17細胞 / ピコルナウイルス科 / IgA / 神経免疫疾患 / T細胞 / IgA抗体 / 腸内細菌叢 / 併用療法 / 多発性硬化症 / 自己免疫 / ウイルス感染 / マウスモデル / 疾患修飾薬 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系へのCD4陽性ヘルパーT(Th)17細胞とCD8陽性T(CD8+T)細胞の浸潤を伴い脱髄と軸索障害を特徴とする疾患である。MS動物モデルの研究からTh17細胞が病態の中心であると示されているが、MS治験でのTh17細胞抑制剤は十分な効果が認められていない。その原因は、治療薬の開発に利用されているMS動物モデルはTh17細胞が病態の中心であり、CD8+T細胞の関与がないことである。本研究では両細胞が浸潤するMS病理像類似の動物モデルを用い、MS病態におけるTh17細胞/CD8+T細胞間のコミュニケーションを検証し、両細胞を標的とした併用療法の確立へとつなげる。
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研究成果の概要 |
本研究では,ヒト多発性硬化症(MS)の中枢神経系(CNS)病理像と同様にヘルパーT(Th)17細胞とCD8+T細胞の浸潤を伴うタイラーウイルス誘導性脳脊髄炎(TMEV-IDD)を用い,MS病態の解明を行った。Th17細胞を増強するとTMEV-IDDが軽減し,かつCD8+T細胞関連の遺伝子発現がCNS内で減少した。またこの一連の研究を通して,IgA抗体がCNS内に沈着しているのを見出した。近年、IgA産生B細胞の浸潤がMSでも報告されており,本成果からMS病態におけるTh17細胞-CD8+T細胞-IgA抗体による新規のコミュニケーションが明らかとなり,新たな治療法の開発へつながる可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の臨床・基礎研究より,多発性硬化症(MS)はヘルパーT(Th)17細胞が疾患の原因であると提唱されている。しかしながら,Th17細胞機能阻害薬はMS治験において十分な効果を認めていない。その原因として,MS病態にはTh17細胞だけでなく,CD8+T細胞や他の免疫反応が関与していると思われる。MS動物モデルを用いた本研究では,Th17細胞の増強が病態に影響を及ぼすとともに,CNS内でのCD8+T細胞やIgA抗体の動態も変化することを示した。Th17細胞-CD8+T細胞-IgA抗体間のコミュニケーションを報告した研究は極めて少なく,今後のMS治療法の確立に新しい光明を投じる可能性を示唆した。
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