研究課題
基盤研究(C)
DNA傷害抑制機構は細胞の恒常性維持に重要である.核形態がよく揃っている腫瘍は幹細胞性が維持され悪性度が高いと推測される.先行研究ではGBMで核の揃ったものはDNA傷害が殆どみられず,核の多形性が顕著なものではDNA傷害が高度であったことから「DNA傷害抑制機構が機能している腫瘍は幹細胞性維持機能が高く核の形態変化を生じないため核は単調で悪性度が高く, DNA傷害抑制機構が低い腫瘍は幹細胞性が喪失しやすくDNA傷害が核の多形性につながり悪性度低い」と予測される.そこでMS-GBMとGC-GBMを比較して調べDNA傷害抑制機構の癌化や悪性度への関与,および核異型の成因を明らかにする.
DNA傷害抑制機構が働くと幹細胞性が維持され悪性度が高いと考えられるが,DNA傷害抑制機構は核形態を均一に保つことにも関わるため,核の形態とDNA傷害抑制機構,さらに腫瘍の悪性度の関連を確かめることを課題とした.そのための核の形態計測と数値の標準偏差を用いた比較法を確立した.そしてglioblastomaでは核形態の均一性とDNA傷害との相関が明らかとなり幾つかの幹細胞性マーカーとの相関が認められた.他の癌腫での検討では,胆管癌においてTP53遺伝子変異のないものはあるものと比べて有意に核面積の均一性が高かった.今後も癌において核形態の均一性から幹細胞性や悪性化に繋がる要素を検討していく.
病理診断や細胞診断は特に腫瘍医学の上で診断上極めて重要な役割を果たしているが,形態診断に最も重要な核異型に関してはその生じる原因が全く解明されていない.本課題は単に核の異型(正常からの隔たり)ではなく,核の均一性がDNA保護と強く関わっている事を想定してそれを証明し,さらにDNA保護作用は幹細胞性とも強く係わることから,核の均一性と腫瘍悪性度に注目してその解明を試み,glioblastomaではその一部を証明し,さらに他の癌腫においてもDNA保護作用を持つとされるTP53遺伝子変異の有無と核形態の均一性を証明した.診断に欠かせない核形態が腫瘍の生物学的態度との相関を指摘したことは意義深い.
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