研究課題/領域番号 |
20K07445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
新村 和也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40321880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | NanoSuit method / electron microscopy / primary cilia / lung cancer / salivary gland tumor / ナノスーツ法 / 一次繊毛 / 肺腫瘍 / 電界放出型走査電子顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 唾液腺腫瘍 / Shhシグナル経路 / 腫瘍 / 中心体・一次繊毛 / DNA修復 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノスーツ法というナノスケールの皮膜を対象物に形成させ電子顕微鏡(電顕)観察を行う新規手法を、通常の病理組織診断で用いるHE病理標本での観察に応用した新規技術が当大学で開発されたばかりである。本研究では、これを利用し(A)非腫瘍vs腫瘍、各種腫瘍間等での細胞表面微細構造の検討、(B)中心体・一次繊毛の観点からの検討、(C)DNA修復の観点からの検討、を行い、今後の医学・医療の発展に役立つ腫瘍形態学的特性を新規に同定することに取り組む。得られる成果は、病理診断法の向上、腫瘍の生物学的特性把握、新規腫瘍治療法の策定への足がかり、等の点で有用と考えられ、国民への還元が期待される。
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研究成果の概要 |
ナノスーツ法を用いて唾液腺腫瘍、肺腫瘍における一次繊毛の電子顕微鏡像を取得することに世界で初めて成功した。両腫瘍とも、一次繊毛は特定の病理組織型のみで高頻度に認められた。また、一次繊毛陽性腫瘍には様々な特徴(一次繊毛が正常部より長い、転移先での一次繊毛の保持、SHHシグナル経路の活性化など)が認められた。さらに一次繊毛形成率は、それぞれ、TTBK2, HYLS1の発現と関連することも示された。以上の結果は両腫瘍の腫瘍化と一次繊毛との間の重要なリンクを示唆するものと考えられた。また、他にも腫瘍の病理組織学的観察・鑑別におけるナノスーツ・電子顕微鏡法の有用性を示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
唾液腺腫瘍、肺腫瘍の特定の組織型では一次繊毛が生えているという事実をナノスーツ・電子顕微鏡法で世界で初めて示し、その様々な特徴を明らかにした。将来的にこれを標的とした治療法の確立につながる可能性を秘めている。特に、唾液腺の腺様嚢胞癌や小細胞肺癌といった悪性度の高い癌で新たな形態学的・分子生物学的特徴を見出した意義は大きいと考えられる。また、ナノスーツ・電子顕微鏡法が、ヒト腫瘍の新規形質の同定や、鑑別診断に有用であることを、他にもいくつかの点から示すことができたので、本法の更なる活用が期待される。FFPE由来の病理標本も利用できるため、病理診断と対応させて電顕観察できる点が大きいと考えられる。
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