研究課題
基盤研究(C)
がん生存者の9割は転移により不幸の転帰を辿る.しかしながら,転移自体を防ぐ方法論の確立はまだ行われていない.申請者は,遠隔転移を最も受ける臓器が肝臓であることに着目し,マウスの肝転移モデルを作出した.この肝転移モデルから得た高肝転移腫瘍株から世界初の肝転移ドライバー分子Amigo2を決定した.申請者の研究グループでは,マウスの肝高転移株を用いたAmigo2発現を抑制する化合物スクリーニングを行い,得られた化合物が特定のシグナル伝達を阻害することを見出している.本申請は,マウスからヒトへの外挿と,ヒトがん細胞を用いた候補化合物のドラッグリポジショニング探索を目的とする.
マウス腫瘍から肝転移ドライバーAMIGO2を決定し,この発現を抑制する10化合物を同定した.その標的は5シグナルであった.本研究で明らかにしたことは,AMIGO2の肝転移ドライバー機能がヒトに外挿できること.5種のシグナル経路を抑制する3種の分子標的薬によるドラッグリポジショニングができたこと.分子標的薬処理癌細胞は肝血管内皮との接着が阻害されたこと.分子標的薬はヌードマウスでの肝転移を抑制したことであった.肝転移ドライバーAMIGO2は,種を越えた普遍的な機能分子であった.本研究は当初目的であるドラッグリポジショニングを達成し,候補化合物を決定した.今後は,候補化合物の構造解析を行う.
原発腫瘍の治療後に控える遠隔転移は,患者予後を決定する最大のリスク要因となる.特に肝転移は,生命維持の主機能が損なわれるだけで無く,脳・肺への二次転移に繋がる.従って,癌診断時より肝転移の予防化合物の投与が叶えば,癌患者の抱く潜在的な癌死への恐怖を払拭する希求の転移予防開発に応える意義を持つことになる.本研究成果は,肝転移予防化合物の開発,そして提供に繋がる波及効果を有する.
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