研究課題/領域番号 |
20K07456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
長久保 大輔 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (10368293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大腸 / 杯細胞 / 粘液 / ケモカイン / 上皮間葉転換 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸には膨大な数の細菌が存在するにも関わらず、宿主との共生関係が成立している。そこには大腸上皮組織の中の杯細胞と呼ばれる細胞が分泌する粘液が重要な役割を果たしている。予備実験で細胞遊走作用をもつCCL28という分子を欠損した大腸では粘液産生の低下が起きたことから、本研究ではCCL28による「杯細胞の粘液産生・分泌制御」、「杯細胞の分化制御」、さらに「杯細胞の生存維持の制御」について詳しく解析し、杯細胞の粘液産生に関わる機構がどのような分子で担われているのかを明確にすることを目指している。
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研究成果の概要 |
大腸には糖タンパク質ムチンを成分とする2層からなる粘液層が存在し、宿主への細菌の侵入を防いでいる。粘液の産生は大腸上皮の中の杯細胞が担っている。本研究課題では杯細胞の分化や粘液産生制御の解析を行った。その結果、大腸に発現するケモカインCCL28がその受容体CCR10を介した杯細胞への分化誘導作用、および杯細胞の粘液産生促進作用を持つ可能性を明らかにした。また、大腸上皮細胞に及ぼすケモカイン系の作用の解析から、CCL28の別の受容体CCR3の阻害が、がん悪性化に関与する上皮間葉転換や倍数体巨大化細胞の形成を誘導することを見出し、そのシグナル伝達経路を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大腸には膨大な数の細菌が存在するにも関わらず、宿主との共生関係が成立している。そこには大腸上皮の中の杯細胞と呼ばれる細胞が分泌する粘液が重要な役割を果たしている。本研究は、液性因子であるケモカインCCL28が大腸における杯細胞の分化や粘液産生を制御するという新規の概念を提供した。また、CCL28の受容体でもあるCCR3の阻害は大腸がんの悪性化の誘導にも関わることを明らかにした。今回得られた分子機構は新規の知見であり、それらが杯細胞の機能異常による炎症性腸疾患、あるいは大腸がんなどに対する将来的な創薬の治療標的に繋がることが期待される。
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