研究課題/領域番号 |
20K07465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70275733)
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研究分担者 |
岡本 宗裕 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 教授 (70177096)
案浦 健 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (90407239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 三日熱マラリア原虫 / Plasmodium vivax / サルマラリア原虫 / Plasmodium cynomolgi / 肝臓内休眠体 / 可視化 / GFP / ルシフェラーゼ / マラリア / 肝臓休眠体 / アカゲザル |
研究開始時の研究の概要 |
三日熱マラリア原虫はヒトの肝臓内へ侵入後、休眠体を形成し、数週間~数年を経て増殖を再活性化する。つまり本原虫の感染者は休眠体が肝臓内に生残する限り再発を繰り返し、持続的な病原体の保有宿主となる。本症の制圧には休眠体に対する対策が不可欠であるが、いまのところ生物学的な基盤情報が非常に少ない。そこで本研究では三日熱マラリア原虫と酷似した特性を有し、遺伝子構造上も近縁のサルマラリア原虫(Plasmodium cynomolgi )の可視化株を開発し、休眠体ステージの解析を目的とした新たなin vivo およびin vitro 実験系の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
【背景】研究代表者らは休眠体ステージの解析を目的に、サル・マラリア原虫(Plasmodium cynomolgi, 以下Pcy )を用いた新たな可視化株の確立を試みた。昨年度までの研究により、ヒトの三日熱マラリア原虫と酷似した特性を有するPcy BにGFP:Luciferase遺伝子を導入し、恒常的に蛍光シグナルを発する分離株(可視化株)を作製した。Pcy B可視化株は赤球内ステージおよびハマダラカ(Anopheles stephensi )体内のいずれの発育ステージにおいても蛍光シグナルが確認された。【材料・方法】今年度は、当株が感染したアカゲザルを既存の抗マラリア剤で治療し、その後に発生する再発時期の肝臓に着目して実験を行った。ハマダラカより回収したPcy B可視化株のスポロゾイト(SPZ)を実験用アカゲザル3頭(No.1, 2, 3)に静脈内接種した。供試個体は適時剖検し、剖検時に取り出した肝臓は、NEWTON 7.0 In Vivo Imaging システムで観察した。【結果】No.1はSPZの接種6日後に剖検し、肝臓のイメージングを行った。その結果、肝臓実質内に点状の蛍光シグナルが多数認められ、これらはPcy B可視化株の肝臓内増殖ステージと判定された。No. 2はSPZの接種10日後、クロロキンによる治療を施し、治療終了から8日後に肝臓のイメージングを行った。No. 3はSPZの接種11日後、アトバコンによる治療を施し、治療終了から7日後に肝臓のイメージングを行った。その結果、両個体の肝臓では蛍光シグナルが1個のみ認められた。治療に用いた薬剤は赤血球内と肝臓内の原虫は殺滅するが、肝臓内休眠体には効果を示さないことが知られている。したがって、このたび治療後に認められた肝臓内の増殖像は、休眠体を起源とする原虫であることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、当初昨年度までに確立したPlasmodium cynomolgi可視化株より、ピリメサミン耐性遺伝子(hdhfr)を抜き取り、全ての薬剤耐性遺伝子をもたない株の確立を目指した。しかしながら、2度にわたる実験を試みたが、良好な結果は得られなかった。そのため、当初の計画より約8か月間の遅延が生じてしまった。その後、今年度内に実施を予定していた抗マラリア剤による治療実験は、ピリメサミン耐性遺伝子(hdhfr)が導入された状態の株で実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はPlasmodium cynomolgi可視化株より、ピリメサミン耐性遺伝子(hdhfr)の抜き取りを2度にわたり実施したが、良好な結果は得られなかった。しかし、今後肝臓内休眠体を標的とした新規薬剤のスクリーニングに本株を用いるためには、薬剤耐性遺伝子の抜き取りは不可欠な作業行程である。したがって、来年度は別な方法で薬剤耐性遺伝子の抜き取りに挑戦し、より望ましい遺伝子構造のP. cynomolgi可視化株を完成させたいと考えている。
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