研究課題/領域番号 |
20K07466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉田 菜穂子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70327584)
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研究分担者 |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 客員教授 (10147168)
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (70112688)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 赤痢アメーバ / 腸内細菌叢 / 硫酸還元菌 / 小児 / 腸内細菌 / 感染制御法 |
研究開始時の研究の概要 |
赤痢アメーバ症は、発展途上国では特に小児下痢症の主要な原因となり、また日本においても報告数が急増し重症化や致死的な劇症例が問題となっている。これまでに赤痢アメーバ感染と宿主の腸内細菌叢には密接な関連性があることが示唆されているが、その詳細やその分子基盤は未だ解明されていない。申請者らはこれまでに各アメーバ種の感染に影響する腸内細菌について解析を行ってきた。これらの結果を基に、赤痢アメーバの細菌共棲培養系と、マウス腸管感染実験系とを用いて、特定の細菌/細菌叢が赤痢アメーバの増殖や腸管組織への感染、侵入に作用する機構を解明し、腸内細菌叢を標的とした新規の赤痢アメーバ感染制御法を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、赤痢アメーバを始めヒトに感染し得る各アメーバ種の実際のヒトへの感染、病原性に関連性の強い細菌/細菌叢を同定することを計画している。令和4年度では、令和2年度に発表した、「アジアのヒトとマカクにおける腸管寄生病原アメーバの探索と共進化の解明」(H28-H31,基盤B16H05819)の共同研究者として行ったタイ学童のアメーバ感染についての研究で採取した便検体について、さらに菌叢解析の検体数を増やし解析を行っており、現在この結果について論文報告の準備を継続している。 また、これまでに硫酸還元菌等数種の菌に赤痢アメーバの増殖促進効果があることを確認しているが(Yoshida N et al. Bioscience Trends. 2019)、赤痢アメーバ臨床分離株の樹立を行う過程で、便検体に存在するいくつかの細菌種が細菌共棲培養において逆に赤痢アメーバ増殖を阻害することを見出した。まずこれらの菌個別に細菌共棲培養に用いることにより、各菌と赤痢アメーバ増殖における関係性を解析する目的で、培養条件検討を行っている。令和5年度は、これまでに行った菌叢解析の結果のまとめと、細菌共棲培養実験の結果をもとに、特定の細菌と共生したことによる赤痢アメーバの感染性や病原性の変化について、動物モデルを用いて解析を行う予定としている。動物実験の手技や方法について、令和3,4年度にも予備実験を行いすでに手法を確立している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画に従い赤痢アメーバ等アメーバに感染した学童の便検体を用いて細菌叢の解析を実施した。解析自体、及びその後、特定の細菌を用いた共棲培養実験、また動物実験の手法の確立において、当初予定していたよりも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
qPCRを用いた菌量解析から赤痢アメーバの増殖に関与すると結果の得られている細菌種、またメタゲノム解析の結果から関与する可能性の高い細菌種を推定し、実際に共棲培養系においてアメーバの増殖や病原性の変化について解析を進めたことについての論文発表をすすめる。また、これらの結果を用いて、動物実験において病原性の評価をするための評価法の構築を進める。 現在までに見出している赤痢アメーバの増殖抑制効果が期待できる活性天然物の構造解析を行う。またその作用メカニズムについて、共棲に関わる生体内低分子の同定と変動分析から解析し、この結果を赤痢アメーバ感染と細菌叢との共棲機構の解明につなげる予定としている。
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