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黄色ブドウ球菌の新規TAシステムによる細胞死制御とパーシスター形成の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07480
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49050:細菌学関連
研究機関広島大学

研究代表者

加藤 文紀  広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (70452589)

研究分担者 岡 広子  広島大学, 医系科学研究科(歯), 主任特任学術研究員 (60452588)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード黄色ブドウ球菌 / ストレス応答 / 膜タンパク質 / 細胞死 / トキシン・アンチトキシン / 生育阻害 / 酸化ストレス / トキシン・アンチトキシン システム / TAシステム / パーシスター形成
研究開始時の研究の概要

本研究では、1)新規に見出した黄色ブドウ球菌トキシン・アンチトキシン(TA)システムであるTsaA/TsaTによる細胞内ATP量制御機構の解明および、2)黄色ブドウ球菌の薬剤抵抗性を有するパーシスター形成に注目してTsaA/TsaTの生理的な役割の解明を目指した研究を行う。本研究を通して黄色ブドウ球菌の新規TAシステムTsaA/TsaTによる細胞内ATP量制御を介した新規な黄色ブドウ球菌の細胞死制御モデルを提唱することができる。さらに、本研究は黄色ブドウ球菌のTAシステムを標的とした抗菌薬の開発および既存抗菌薬の効果を高める感染症治療薬開発の基盤情報を提供するものである。

研究実績の概要

細菌には、細菌自身の生存に必須な細胞機能を停止させる事で、細菌細胞の分裂停止および細胞死を誘導するトキシンと、そのトキシン活性を中和するアンチトキシンから成るトキシン・アンチトキシン(TA)システムが存在する。TAシステムは、当初、プラスミドDNAの安定的な保持機構として見出されたが、ゲノム配列情報の解読から、現在までに細菌の染色体上には多数のTAシステムが存在することが明らかになっている。染色体上に存在するTAシステムは、細菌のストレス応答、ファージからの防御、病原性、バイオフィルム形成、薬剤感受性や薬剤抵抗性に関与することが報告されている。本研究では、我々が新規に見出した黄色ブドウ球菌のTAシステム TsaA/TsaTがどのような機構で黄色ブドウ球菌に細胞死を誘導するのか、および黄色ブドウ球菌においてどのような生理的な役割を有するのか、特に抗菌薬作用時におけるパーシスター形成と酸化ストレスに注目して解明することを目的としている。当該年度は、TsaT遺伝子に蛍光タンパク質またはFLAGタグを融合させレポーターアッセイにより、黄色ブドウ球菌細胞内でTsaTトキシンが発現する生理的な条件を探索した。しかしながら、明確な条件を見出せておらず、さらなる検討が必要である。加えて、国際共同研究機関である米国・ラトガース大学にて研究滞在し、黄色ブドウ球菌細胞内でのTsaAアンチトキシンタンパク質とTsaTトキシンタンパク質との相互作用解析によりアンチトキシンがトキシン活性を中和する機構の解析を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度において、膜タンパク質からなるTsaAおよびTsaTタンパク質は、黄色ブドウ球菌の細胞膜上で機能していると推定されることから、国際共同研究先にてタンパク質ータンパク質複合体形成を化学的にクロスリンクさせた状態で、TsaTタンパク質およびTsaAタンパク質に結合するタンパク質を解析する事を試みた。しかしながら、現在までのところ結合を検出できていない。そのため更なる条件検討が必要であり、問題解決のために人工膜状でのタンパク質ータンパク質間相互作用解析を実施する事も今後検討する。また、これまでに遺伝子欠損株および遺伝子過剰発現株を用いてTsaA/TsaT TAシステムの生理的な役割の解明に至っていないことから、TsaT遺伝子に蛍光タンパク質またはFLAGタグを融合させレポーターアッセイにより、黄色ブドウ球菌細胞内でTsaTトキシンが発現する生理的な条件を探索しているが、明確な条件を見出せておらず、さらに検討が必要である。これまでの研究成果として、1)黄色ブドウ球菌のTsaA/TsaT TAシステムが二つの膜タンパク質から成る事、及び2)中和活性に重要なそれぞれのアミノ酸残基定に関して論文投稿し、現在リバイスを行なっており論文掲載に向けて修正を進めている。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画から遅れていることから、補助事業期間を延長して黄色ブドウ球菌のTsaA/TsaT TAシステムによる細胞分裂・細胞死制御機構および生理的な役割の解明を試みる。トキシンとアンチトキシンの両膜タンパク質による相互作用を明らかにするため、実験条件の更なる検討を行いつつ、人工膜上でのタンパク質ータンパク質間相互作用解析を検討する。さらに、蛍光タンパク質を用いたTsaT遺伝子のレポーターアッセイおよび発現解析により、酸化ストレス条件下および抗菌薬作用時の役割を引き続き解析する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] CABM-Rutgers University(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] RWJMS-Rutgers University(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] RWJMS-ラトガース大学(米国)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ラトガース大学(米国)

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌トキシン・アンチトキシンシステムTsaA/TsaTの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      加藤文紀, Masayori Inouye, Keiko Inouye,
    • 学会等名
      第76回日本細菌学会中国・四国支部総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌の細胞機能を停止させる膜タンパク質に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      加藤文紀, Masayori Inouye
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 膜タンパク質からなる黄色ブドウ球菌TsaA/TsaT TAシステムの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      加藤文紀, Masayori Inouye
    • 学会等名
      第96回日本生化学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Characterization of TsaA/TsaT, a novel Staphylococcus aureus Toxin-Antitoxin system2022

    • 著者名/発表者名
      Fuminori Kato, Masayori Inouye
    • 学会等名
      ASM Microbe 2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 膜タンパク質から成る黄色ブドウ球菌TAシステムTsaA/TsaTの機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      加藤文紀、井上正順
    • 学会等名
      第16回日本ゲノム微生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Identification of toxin-antitoxin systems in Staphylococcus aureus2021

    • 著者名/発表者名
      Fuminori Kato, Masayori Inouye
    • 学会等名
      6th Joint Scientific Meeting in Dentistry
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌TAシステムTsaA/TsaTの機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      加藤 文紀
    • 学会等名
      第94回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] TAシステムを介した細菌の休眠と覚醒:生化学とー細胞解析の融和を目指したアプローチ;黄色ブドウ球菌のTA systemの機能解析と役割2020

    • 著者名/発表者名
      加藤 文紀
    • 学会等名
      第93回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌新規TAシステムTsaATの機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      加藤 文紀
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 広島大学歯学部中央研究室

    • URL

      https://hiroshimacentrallabo.wixsite.com/mysite

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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