研究課題/領域番号 |
20K07503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
片山 誠一 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70169473)
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研究分担者 |
松永 望 岡山理科大学, 理学部, 講師 (30780142)
櫃本 泰雄 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90136333)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Clostridium perfringes / fibronectin (Fn) / Fn-binding protein / autolysin / GAPDH / pili / Clostridium perfringens / fibronectin(Fn) / フィブロネクチン結合タンパク質 (Fbp) / dermatopontin / 線毛 / Fn-binding proteins |
研究開始時の研究の概要 |
ウェルシュ菌のペプチドグリカン層に存在する2つのFbp (FbpC, FbpD)と解糖系の酵素の一つであるglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)や溶菌酵素Autolysinが、ヒトのFn分子と結合することを明らかになった。これらのタンパク質が、Fn分子にどのように結合し、病原細菌の付着因子として機能することを欠失変異株や相補株を用いて明確にする。また、ウェルシュ菌の線毛は、2つのタンパク質(CppA, CppB)で構成されている。これらの遺伝子の欠失株や変異株を作成し、この線毛の形状と付着因子としての機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
グラム陽性有芽胞細菌のウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、ヒトのフィブロネクチン(Fn)に結合する。この作用の原因となるフィブロネクチン結合タンパク質として幾つかの候補が存在する。その中で、ウェルシュ菌の自己溶解酵素Autolysin(Acp)がFn結合活性を持ち、かつその欠失株(C. perfringens 13 acp::erm株)のFn結合活性が低下すること、acp遺伝子を相補した株でFn結合活性が回復することを明確に示した。これらの知見をまとめ論文投稿(submitted)を行なった。Autolysinは初めてのウェルシュ菌のFn結合に関わるフィブロネクチン結合タンパク質である。他の候補として、glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)が存在する。今まで、このタンパク質は解糖系の酵素と知られていたが、Fnとプラスミノーゲンを結合する能力があることがわかっている。しかしながら、本当にウェルシュ菌のFn結合に関与しているかどうかは明確ではない。GAPDHの機能を明確にするため、キシロース誘導型プロモーターをgapC遺伝子のプロモーター上流に挿入しようとしたが、この試みは失敗に終わってしまった。他のフィブロネクチン結合タンパク質(Fbp)の候補として、FbpCとFbpDが存在する。このうちFbpDは、ウェルシュ菌のFn結合に関わらないこと、ペプチドグリカン分解活性を持つことが明らかになった。ウェルシュ菌には、グラム陽性菌に見られる線毛が存在している。エンテロトキシン産生ウェルシュ菌SM101株における線毛(pili)の機能を調べるために、この線毛形成に関与している遺伝子CppA, CppBを欠失することを試みた。これらの欠失候補株が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)をコードするgapC遺伝子の欠失やその遺伝子発現を変化させるためのキシロース誘導型プロモーターの遺伝子上流への挿入ができなかったことと線毛の機能を調べるための線毛遺伝子CppA, CppB遺伝子の欠失に時間が大幅にかかってしまったことなどによる。
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今後の研究の推進方策 |
ウェルシュ菌のglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)は、Fn結合活性を有することが明らかになっている。この酵素が、ウェルシュ菌のFn結合に関わるフィブロネクチン結合タンパク質に関わるのかどうか、明らかにしたいと考えている。具体的には、Fn結合活性が低下するautolysin欠失株(C. perfringens 13 acp::erm株)がウェルシュ菌へのGAPDH結合活性も低下するという結果が示されている。どうも、AutolysinがGAPDHと相互作用していると考えられる。これを明確に示していきたい。また、autolysinは、120 kDaの分子量を持っているが、95 kDaに切断されることがわかっている。この切断に関わる酵素を同定すること。95 kDaのウェルシュ菌における意味を明確にしていきたいと考えている。さらに、AutolysinとGAPDHが相互作用することを示すため細菌菌体上の局在を示したいと考えている。 FbpDについては、ペプチドグリカン分解活性を持つことが明らかになったので、その切断部位を質量分析などの方法を用いて明らかにしていきたいと考えている。また、機能が明確になれば、fbpD遺伝子オペロンの構造なども示していきたい。 ウェルシュ菌の線毛の研究では、エンテロトキシン産生ウェルシュ菌SM101株における線毛(pili)の機能を調べるために、この線毛形成に関与している遺伝子CppA, CppBを欠失することが成功したようなので、これらの相補株を作製して、線毛の形状や機能を明らかにしていきたいと考えている。
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