研究課題/領域番号 |
20K07505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40164462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ウエルシュ菌β毒素 / 腸管病原性 / ポア形成毒素 / P2X7阻害剤 / 治療薬 / Caco-2細胞 / P2X7受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトや動物の壊疽性腸炎の原因であるC型ウエルシュ菌β毒素は、本菌の病原性に深く関与し、その作用メカニズムは未だに解明されていない。本毒素は宿主細胞のP2X7受容体を認識して結合し、さらに、本毒素は、P2X7受容体と共役したATP放出チャンネルであるパネキシンを活性化して毒性を発現することを報告した。本研究では、本毒素の腸管病原性発現機構を明らかにし、本感染症克服に役立つ知見を得る。計画している研究項目は、1) 毒素と宿主受容体の相互作用、2) β毒素の腸管細胞バリア機能破綻作用と腸管病原性の解析、3)毒素の構造解析と毒性の関係、4) 感染症に対する治療薬の開発の4つである。
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研究成果の概要 |
C型ウエルシュ菌のβ毒素は、本菌による壊疽性腸炎の主要な病原因子である。我々は、β毒素の腸管病原性について検討した。β毒素は、ヒト血管内皮細胞に作用させると細胞死を起こした。β毒素は、その細胞で7量体のオリゴマーを形成し、細胞膜を破壊した。次に、β毒素は、マウス回腸に投与すると、腸管組織の障害を起こした。以上から、本毒素は、腸管の血管内皮細胞に対して障害を起こし、腸管病原性を発現している可能性が推察される。P2X7阻害剤は、本毒素による致死活性や腸管毒性を抑制した。すなわち、P2X7阻害剤は、毒素の治療薬となることが判明した
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ウエルシュ菌のβ毒素は、当グループが、世界で初めて精製に成功した。また、世界的に抗精製β毒素抗体を有する唯一の研究室である。従って、当グループは、これまで、β毒素の病原メカニズムについて世界をリードしてきた。本研究では、β毒素の病原性を、ヒト血管内皮細胞を用いて、細胞毒性のメカニズムを解明した。さらに、in vivoでの感染実験を実施し、β毒素は、マウス回腸に障害を与えることを明らかにした。さらに、本研究により、β毒素の致死活性と腸管病原性は、P2X7阻害剤で抑制された。以上より、本研究は、世界に先駆けて、本感染症の病原性発現機構の解明と治療薬開発の基盤を確立できたと確信している。
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