研究課題/領域番号 |
20K07512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 関西医科大学 (2022) 東京医科歯科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
神奈木 真理 関西医科大学, 医学部, 教授 (80202034)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | HTLV-1 / 自然免疫 / 腫瘍 / 炎症 / ATL / EZH2 / Lenalidomide / STAT3 / ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)は悪性腫瘍である成人T細胞白血病(ATL)と慢性炎症性の神経難病であるHTLV-1随伴脊髄症(HAM)を起こす。両者は全く異なる疾患であるが、ウイルス側には大きな違いが無く何が両疾患を分けているのか分かっていない。これまでの我々の研究から、HTLV-1持続感染における腫瘍と炎症を分ける要因に自然免疫応答が関与していることが推測される。本研究では、HTLV-1感染における自然免疫応答の役割を明らかにし疾患機序を解明する。これらが解明されれば、発症リスク予知に役立ち、その制御は新たな治療方法や発症予防方法の開発につながる。
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研究成果の概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)とHTLV-1関連脊髄症(HAM)を起こす。同じウイルスが腫瘍と炎症を主徴とする異なる疾患をおこす機序には宿主の要因が関与すると考えられる。以前の我々の研究からIL-10-STAT3経路がその候補として挙がった。本研究ではATLとHAMを分ける機序の解明を目的として、IL-10-STAT3経路の調節因子の検討を行なった。プローブとして用いた薬剤のうち、ATLの治療薬であるLenalidomideがHTLV-1感染細胞のSTAT3経路を抑制した。さらに、これにヒストンのメチル化因子であるEZH2の減少が伴うことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Lenalidomideは再発・難治ATLの治療薬としてすでに承認されているがその機序には不明点が多い。ATLに一定の効果を示すLenalidomideがSTAT3経路を抑制したことは、STAT3経路がHTLV-1感染からATLへの進展に重要であることを裏付けている。さらに、このSTAT3経路の調節にEZH2が関与している可能性が示唆された。また、Lenalidomideは多発性骨髄腫にも汎用される薬剤であるが、EZH2を負に制御しエピジェネティックな作用を持つことは今回初めて明らかになった知見であり、Lenalidomideのような免疫調節薬の多彩な作用を説明する新たな機序と考えられる。
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