研究課題/領域番号 |
20K07523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前田 直良 北海道大学, 薬学研究院, 特任准教授 (80444800)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | レトロウイルス / JSRV / ENTV / トランスフォーメーション / 腫瘍 / タンパク質 / 構造解析 / 宿主因子 / ウイルス / がん / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
オーストラリアやニュージーランドを除いた国々で発生が認められる伝染性のヒツジ肺腺腫ovine pulmonary adenocarcinoma (OPA)は、II型分泌上皮細胞の悪性腫瘍化である。いまだに有効な治療法やワクチンが存在しないため根絶は困難である。OPAの発症因子はレトロウイルスJSRVの構造タンパク質エンベロープであるが、分子機構については不明な点が多く残され、予防や治療に使用できるワクチンは存在しない。本研究ではJSRVエンベロープの構造と機能の相関性からOPA発症機序を明らかにするとともに、OPAワクチンに使用できるエンベロープ特異的モノクローナル抗体の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究で初めてENTV-2エンベロープのがん遺伝子活性を見出し報告した。ENTV-2エンベロープでトランスフォームした線維芽細胞を樹立し、MEK-MAPK、PI3k-Akt、およびp38が活性化していることを見出した。またRac1特異的阻害剤による線維芽細胞フォーカス形成の阻害などから、細胞の運動性に関与している分子を見出した。またENTV-2エンベロープ細胞外領域に変異を導入することにより、トランスフォーメーションにおける細胞外領域の重要性が示唆された。 JSRV、およびENTV-2エンベロープでトランスフォームした208F細胞をヌードマウスに皮下接種することで腫瘍形成を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エンベロープは本来、標的細胞への侵入の際に機能するウイルス膜タンパク質であるが、JSRV/ENTVエンベロープはがん遺伝子としても機能することで呼吸器系の上皮細胞を腫瘍化し、腺がんを発症させる極めてまれな題材であり、腫瘍ウイルス学の発展に寄与することができる学術的価値を有している。またJSRVとENTVのエンベロープは、GPIアンカー型分子Hyal-2 を受容体として細胞侵入時に使用するにもかかわらず、ヒツジ個体で腫瘍発生器官を異にすることから、「ウイルス感染→細胞指向性→発がん」を研究する上で理想的なモデルになる。また、エンベロープの構造機能相関の解明は、有効な治療法やワクチン開発に繋がる。
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