研究課題/領域番号 |
20K07530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
中山 絵里 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (40645339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジカウイルス / グリオーマ / 神経膠腫 / ウイルス療法 / がん幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
神経膠細胞が腫瘍化することで起きる神経膠腫(グリオーマ)に対してジカウイルスを用いたがんのウイルス療法を試みる。グリオーマ組織中に存在するがん幹細胞は抗がん剤や放射線への抵抗性が高い上、正常な幹細胞同様に自己複製能を持つことから腫瘍の供給源となる。ジカウイルスは好んで幹細胞に感染する特徴を持つ。この特徴を生かし、ジカウイルスがグリオーマ幹細胞に感染・傷害することでグリオーマの治療に有用かどうかを評価する。
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研究実績の概要 |
本研究では神経膠細胞が腫瘍化することで発症する神経膠腫(グリオーマ)に対して、ジカウイルスを用いたがんウイルス療法を試みている。昨年度までに、ジカウイルス療法を施すことで担がんマウスの生存期間が延長することを示した。今年度は、ジカウイルス療法を施したマウスの脳組織を評価し、ウイルス療法の作用機序の解明を試みた。その結果、ジカウイルスはがん細胞よりも正常な脳細胞指向性が高く、ウイルスが直接がん細胞を破壊するのではなく、がん周囲の正常な脳細胞への感染に伴う炎症反応によってがん細胞の増殖が抑制されている可能性が示唆された。 昨年度、がん化した神経膠細胞では発現しないが、正常な脳組織で発現するmicroRNAに対する標的配列をウイルスゲノムの3’UTR領域に挿入した組換えジカウイルスを作出し、正常なマウス脳組織での増殖能が低いことを確認した。この組換えジカウイルスは、安全性が高い治療用ウイルスとなり得る可能性があったが、グリオーママウスモデルで使用しているマウス由来のがん細胞、GL261細胞での増殖効率が低いことが明らかとなり、担がんマウスに組換えウイルスを接種しても治療効果が期待できないと判断した。そこで、ウイルスの細胞指向性を規定しているエンベロープタンパク質にランダムに変異を挿入したジカウイルスライブラリーを作出し、GL261細胞で効率よく増殖する変異ウイルスの選出を試みた。しかし、ライブラリーを接種したGL261細胞の上清から感染性ウイルスを回収することができなかった。現在は、GL261細胞でのジカウイルスの継代を進め、GL261細胞に順化したウイルスの作出を試みている。 一方、ジカウイルスは、ヒト由来のグリオーマ細胞であるIMR-32細胞において高い増殖能を示したことから、次年度は、IMR-32細胞を使用してウイルス療法の有用性を評価することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
安全性と治療効果を両立したジカウイルス療法の確立に至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
マウス由来のグリオーマ細胞であるGL261細胞と比較して、ヒト由来のグリオーマ細胞であるIMR-32細胞においてジカウイルスは高い増殖能を示したことから、次年度は、IMR-32細胞を使用してジカウイルス療法の有用性を評価することを検討している。
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