研究課題/領域番号 |
20K07537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 常磐大学 (2022-2023) 滋賀医科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
藤堂 景史 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (50452561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | IgD / IgE / I型アレルギー / 抗体 / B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
Ⅰ型アレルギーの原因となるアレルゲン特異的なIgE抗体産生細胞の生成機序は未だ不明な点が多い。これまでのアレルギーマウスモデルを用いた研究から、IgDクラスの抗体を産生する細胞がアレルギー病態を呈する粘膜免疫組織に著しく集積することを見出した。そこで本研究は、アレルギー性鼻炎マウスモデルを用いて、IgD抗体産生細胞のⅠ型アレルギー病態形成における役割を解明することを目的とする。アレルゲン特異的IgD産生細胞の動態を明らかにし、IgD産生細胞の前駆体を同定するとともに、ヒトのアレルギー性鼻炎におけるIgD産生細胞の動態についても解析し、Ⅰ型アレルギーの新規治療法の開発につなげることを目指す。
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研究実績の概要 |
当研究は、I型アレルギーの原因となるアレルゲン特異的IgE抗体の産生メカニズムを明らかにするために、IgE抗体と相関的に発現が誘導されるアレルゲン特異 的IgD抗体の動態に着目し、アレルゲン特異的IgD抗体の分子特性やこのIgD抗体のIgE抗体産生への関与を明らかにすることを目的としている。IgD分子の存在は 古くから知られているにも関わらず、抗体としてのIgDの生理的役割はほとんど明らかでない。IgD抗体の分子特性および生理的機能を明らかにするために、マウスIgD抗体のリコンビナント体を作成し解析を行っている。解析に用いたマウスIgD抗体のリコンビナント体は、モデル抗原である4-hydroxy-3- nitrophenylacetyl (NP)に対する特異性を有するものを作成した(NP-IgD抗体)。このNP-IgD抗体をIgDの産生部位であるマウス鼻腔へ投与し、同時に特異的抗原であるNP-OVAを投与したところ、予想外にもIgEと同じTh2型の免疫応答の際に産生される IgG1クラスの抗体の産生が誘導されることを明らかとしてきた。そこでこのマウスにおいて、実際のアレルギーの原因となる抗原特異的なIgEクラスの抗体が産生されているかを調べたところ、ELISAによる血中の抗原特異的IgE抗体は検出できなかった。しかしながら、qPCRによりIgE抗体の発現を調べたところ、IgD抗体を投与したマウスにおいてIgEの発現およびIgEへのクラススイッチを示すgermline-transcriptionが上昇していることが明らかとなった。これは鼻腔に投与したIgDにより、IgEの産生が誘導されていることを示しており、IgD抗体はI型アレルギーの原因となるIgE抗体の直接的な発現誘導に深く関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度勤務先の異動が生じたことにより、研究環境の立ち上げなど当初予定していなかった事象が数多く起きた。今年度も引き続きそれらに多くの時間を割く必要があったため、結果として研究に当てる時間が限定されてしまったことから、当初見込んでいた到達目標まで達することができなかった。そのため研究の進捗としては「当初の予定からやや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由により研究の進捗が遅れていることから、当初の目標通りに研究を完成させるため1年間の研究期間の延長を行う。これまでに、本研究によりアレルギー病態におけるIgD抗体の動態や、これまで不明であったIgD抗体自身の物性や生理的機能が明らかになりつつある。今後は研究計画に則り、これらIgD抗体を産生する細胞の由来を探ることで、I型アレルギーの原因となるアレルゲン特異的IgE抗体産生に、IgD抗体がどのように関わっているかを明らかにしていく予定である。
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