研究課題/領域番号 |
20K07539
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柴田 健輔 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50529972)
|
研究分担者 |
山崎 晶 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40312946)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 代謝産物 / T細胞 / 免疫療法 / ガン / ガン免疫療法 / 腫瘍免疫 / 細胞免疫療法 / 医薬分子機能学 |
研究開始時の研究の概要 |
従来のガン免疫療法では主に、ペプチド特異的T細胞が主に用いられてきた。ガン免疫療法は、患者由来ガン特異的T細胞をin vitro にて増殖させた後、患者に戻す手法が用いられる。しかし、ペプチド特異的T細胞の増殖は、ガン由来ペプチドの抗原提示に関わる個人間で多型性に富むMHC により制御され、そのMHCの多型性が臨床応用の障害となってきた。一方、MR1T細胞は個人間で共通のMR1 分子によってそれらの増殖が制御され、抗原認識により抗ガン活性を発揮する。したがって、MR1T 細胞が認識するガン由来抗原を同定することで、全てのガン患者に対する治療応用が可能となることが期待される。
|
研究実績の概要 |
1. 抗腫瘍効果に関わるMR1T細胞の同定と機能解析 これまでにマウスMR1T細胞が認識するガン由来代謝産物として、世界で初めて葉酸代謝産物中間体を同定した。さらに、シングルセル解析により、ヒトMR1T細胞においても、その抗原に反応する可能性があるMR1T細胞クロノタイプを2つ同定した。令和3年度は、それらのクロノタイプのGFPレポーター細胞を樹立し、抗原との反応性を確認した。その結果、いずれのクロノタイプも抗原に対する反応性を有していた。さらに、LC/MSにより、大腸ガンにおける抗原の産生を確認した。以上の結果から、マウス大腸ガンで同定した葉酸代謝産物中間体は、ヒト、マウスMR1T細胞の種を越えた反応性を示すことが示唆された。 2. 大腸ガンマウスモデルを用いた抗腫瘍活性の解析 令和3年度は、研究代表者が同定した葉酸代謝産物中間体が抗ガン効果に寄与するのかを検討した。まず、in vitroにおいて抗ガン効果の検討を行うため、マウスMR1を発現させた大腸ガン細胞とマウスMR1T細胞由来T細胞受容体を発現させたマウスT細胞を共培養させる系を確立した。同系では、共培養を開始して24時間後に抗ガン効果の指標として、死細胞より放出されるlactate dehydrogenase(LDH)を測定した。その結果、抗ガン活性は共培養により誘導され、その活性は葉酸代謝産物中間体の添加により、有意に上昇した。次にin vivoにおける抗ガン活性を確認するため、大腸ガンを接種後、葉酸代謝産物中間体を投与することで抗ガン効果を確認した。その結果、葉酸代謝産物中間体投与によりガンサイズが縮小する傾向を認め、その効果はMR1T細胞欠損マウスでは認められなかった。以上のことから、葉酸代謝産物中間体は抗ガン効果を有することが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトMR1T細胞の同定と、大腸ガンマウスモデル を用いた解析で治療法の検討に、予想以上の時間を要したため、当初の計画より遅れている。以下に進捗状況を示した。 1. ヒト、マウスMR1T細胞が認識する世界初のガン代謝産物として葉酸代謝産物中間体を同定 2. 葉酸代謝産物中間体はマウス大腸ガンに対して抗ガン活性を有すること
|
今後の研究の推進方策 |
今後以下の点を進めていきたいと考えている。 1. 国際論文への投稿 2. 臨床応用のためのアゴニスト活性が強い誘導体合成 3. 大腸ガン患者由来腫瘍移植マウスモデルを用いたヒト大腸ガンに対する抗ガン効果の検討
|