研究課題/領域番号 |
20K07547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022) 東京医科歯科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
王 継揚 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 客員教授 (80231041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | IgA / MZB1 / Mucosal inflammation / Colitis / Colorectal cancer / 腸管免疫 / 大腸炎 / 腸内細菌 / 形質細胞 / J鎖 / J鎖 / 二量体 / B細胞 / IgA分泌 / 分子シャペロン / 腸管 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管内のIgA(分泌型IgA)は、腸内細菌叢の恒常性維持と腸内での感染防御において重要な役割を担う。分泌型IgAは通常、1分子のJ鎖を含む二量体として腸管の形質細胞から分泌され、腸管内に輸送される。J鎖はIgAの輸送に必須であり、J鎖を含まないIgAは腸管内へ輸送されない。申請者は最近、シャペロン分子MZB1がJ鎖とIgAの結合を効率化し、MZB1欠損マウスでは炎症状態の腸管へのIgA分泌が著しく減少して腸炎が重症化することを見出した。本研究では、炎症時にのみMZB1依存的な腸管へのIgA分泌がおこるメカニズムの解明を通して、腸管でのIgAの産生と分泌の制御機構を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、炎症状態におけるIgA分泌制御機構並びにIgAが炎症性腸炎による大腸がんの抑制に果たす役割について解析を行い、以下の成果が得られた。1)分子シャペロンMZB1は、形質細胞内のIgAの分解を抑制し、腸管へのIgA分泌を促進する。2)単細胞RNAシーケンスの結果、通常状態においてはマウス腸管IgAはB-1細胞に由来する。3)MZB1欠損マウスでは、DSSにより誘発される腸炎が重症化し、さらに腸炎により誘発される大腸がんの発生率も顕著に増加していた。以上の結果から、MZB1は、腸管へのIgA分泌を促進することにより腸炎並びに大腸がんの発生を抑制することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)は根治困難な慢性腸疾患であり、大腸がんの誘発要因でもあるが、その発症機構は十分に解明されていない。本研究により、腸管へのIgA分泌が炎症抑制のみならず、炎症により誘発される大腸がんの発生をも抑制することが明らかになった。また、IgAを経口投与することにより、腸管炎症を抑制できることも示した。即ち、IgAが大腸炎や大腸がんの予防や治療薬として臨床応用できる可能性が示唆され、医学的・社会的な意義が極めて大きい。
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