研究課題/領域番号 |
20K07552
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 大輔 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (40612130)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 濾胞制御性T細胞 / ケミカルバイオロジー / イメージサイトメトリー / 自己免疫疾患 / TFR細胞分化誘導系 / イメーサイトメトリー / 濾胞制御性 T 細胞 / 自己抗体 / アレルギー疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、既知活性化合物やoff patent医薬品ライブラリーを、新規に開発したTFR細胞分化誘導系を用いてスクリーニングする。これによって、TFR細胞の分化や機能に与える分子をケミカルバイオロジーの手法を用いて多数同定する。その知見を基に、TFR細胞の分化機序の全貌に迫ると共に、TFR細胞を標的とした自己免疫疾患やアレルギー疾患の新規治療薬候補となる化合物を同定しその薬理効果をを検討する。
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研究実績の概要 |
濾胞制御性T細胞 (follicular regulatory T cells: TFR細胞)は、自己抗原を認識するIgG抗体 (自己抗体)やアレルギー応答に関与するIgE抗体の産生を抑制す ることで、自己免疫疾患やアレルギー疾患の発症抑制に必須の役割を果たす。その分化機序については未解明な点が多い。 本研究では、in vitroのTFR細胞分化誘導系と、既知活性化合物やoff patent医薬品ライブラリーや放線菌由来の生理活性物質を組み合わせ、ケミカルバイオロジーの手法を用いることで、TFR細胞の分化に関わる分子を網羅的に同定する事を目的としている。さらに、TFR細胞分化誘導を持つ化合物を用いることで、TFR細胞を標的とした自己免疫疾患やアレルギー疾患の新規治療薬候補の検証を行う。 <既知活性化合物やoff patent医薬品ライブラリーについて> 2021年度以前に実施したTFR細胞分化誘導1次スクリーニングの結果を基に、2次および3次スクリニーングを実施した。これまでのところ、20以上の活性化合物を同定している。 <放線菌由来の生理活性物質について> 2022年度は、2021年度に実施した放線菌培養上清のTFR細胞分化誘導1次スクリーニングの結果を基に、2次および3次スクリニーングを実施した。1次スクリーニングではTFR細胞分化誘導能をイメージサイトメトリーの手法でスクリーニングしたが、2次および3次スクリーニングではフローサイトメトリー等によって、マルチパラメーターを解析した。その結果、そのうち5種類に絞り込んでいた候補培養上清の中で、最も活性の高いものを同定した。 同定した候補培養上清の中で活性画分の試みた結果、脂溶性画分にTFR細胞分化誘導活性を認めた。現在、画分中に含まれるTFR細胞分化誘導活性物質を同定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、申請書の研究計画に沿って、大きな問題を生じる事なく進捗していると考えている。 2022年度の当初計画の到達目標は、以下の2点である。 1. TFR細胞分化誘導を持つ化合物同定の3次スクリーニングとして、2次までに評価したFoxp3、Bcl-6、TCF-1、CXCR5に加えて、他のTFR細胞に特徴的な分子の発現に対して化合物が与える影響をフローサイトメトリーにて評価すること。 2. 同定した化合物や生理活性物質が、TFR細胞の機能に与える影響を評価すること。その為に、化合物で処理したiTFR細胞と、マウスから採取したB細胞とTFH細胞を共培養する事で、TFR細胞がTFH細胞によるB細胞の抗体産生を抑制する機能を評価すること。 上述のように、到達目標通りに3次スクリーニングまで実施し、既知活性化合物やoff patent医薬品ライブラリーからはTFR細胞の分化を促進する活性化合物を20種類以上同定している。放線菌由来の生理活性物質に関しても、生理活性物質同定の一歩手前まで進めている。TFR細胞がTFH細胞によるB細胞の抗体産生を抑制する機能を評価するという点については、未実施であるが、実験系の構築は完了している。従って、2023年度の初期に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・放線菌培養上清に含まれる生理活性物質を同定するために、活性画分のさらなる分画とNMRを実施する。 ・ヒトのTFR細胞培養系も樹立済みであるので、マウスの細胞を用いて高いTFR細胞分化誘導能を示した既知活性化合物やoff patent医薬品ライブラリーの化合物、 放線菌培養上清がヒトのTFR細胞の分化誘導も行うのか評価する。 ・高いTFR細胞分化誘導能を持つ化合物がTFR細胞の機能に与える影響を評価する。その為に、化合物で処理したTFR細胞と、マウスから採取したB細胞とTFH細胞 を共培養する事で、TFR細胞がB細胞の抗体産生を抑制する機能を評価する。 ・既知活性化合物やoff patent医薬品で構成される化合物ライブラリーを使用する利点を生かし、計画3年目までに同定するTFR細胞の分化や機能に関わる分子の 役割を検証する。多数の候補分子が同定できると期待される事から、全てを対象とするのは困難である為、本研究計画では特に転写因子に着目する。TFR細胞を 用いて、CRISPR/Cas9システムでそれらの遺伝子発現を欠損させる、もしくは遺伝子を強制発現させ、TFR細胞の分化や機能に与える影響を、フローサイトメトリー やトランスクリプトーム解析を用いて評価する。 ・同定するTFR細胞の分化誘導を促進する化合物を用いて、TFR細胞が発症抑制に重要な役割を果たす自己免疫・アレルギー疾患への治療効果を検証する。多数の 候補化合物を選抜できると想定される事から、iTFR細胞の分化や機能に与える影響の強さや、標的分子のTFR細胞以外での発現、合成の容易さ、経口投与時のバ イオアベイラビリティ等を総合的に考慮し数個選択する。自己免疫疾患モデルは、コラーゲン誘発性関節炎モデル、アレルギー疾患モデルはイエダニ抗原誘導ア レルギーを使用する。
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