研究課題/領域番号 |
20K07564
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
辻岡 政経 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, プロジェクト講師 (60442985)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | がん / 接着斑 / FRNK / FAK / FAP1 / DNA損傷ストレス / Nrf2 / ケミカルバイオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は近年、多種類のがん細胞株において、通常培養下では発現が見られず、マウスに移植した腫瘍塊でのみ発現が検出される新規の接着斑構成タンパク質FAP1を見出した。さらに、このタンパク質の欠損株では、マウスへの移植によるがん転移が強く抑制されていた。即ち、FAP1は、がん転移を促進する分子であると考えられた。本研究では、FAP1の発現制御機構とその機能を明らかにすることにより、がんの悪性化と転移の新たなメカニズムを解明する。さらに、ケミカルバイオロジーを応用して、FAP1関連分子の同定と、それらを標的とした抗がん剤候補化合物の開発を行う。
|
研究成果の概要 |
申請者は、接着斑構成因子FAP1が、がんの悪性化に関与することを事前に見出していた。本研究の目的は、①FAP1の機能と発現制御機構を明らかにすることにより、がんの新たな悪性化機構を解明すること、②FAP1を標的とした抗がん剤候補化合物を同定すること、である。 FAP1は、既に知られていた接着斑因子FRNKと同一であった。本研究により、生体中のがん細胞は常時DNA損傷ストレスに晒されており、これに反応して発現したFRNKが細胞接着を増強することにより、がんの悪性化を促進することが示唆された。また、FRNKの発現を阻害する化合物ML385を見出し、これを抗がん剤候補の一つとして注目している。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
FRNKは、その欠損マウスに顕著な欠陥が見られないなど、これまで機能がほとんど分かっていなかった。本研究により、DNA損傷ストレスにおけるFRNKの機能と、それを介した新たな細胞ストレス応答の存在が明らかになった。DNA損傷ストレスは、紫外線や放射線など日常にありふれており、様々な疾患とも関連している。本研究成果が、これらの疾患メカニズムの解明や治療法の確立に繋がることが期待される。特に、がん治療においては、正常組織ではFRNKの機能抑制による影響がほとんど見られないため、副作用の少ない抗がん治療の標的として有望である。
|