研究課題/領域番号 |
20K07573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
齋藤 敦 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (30580394)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | OASIS / 癌 / メチル化 / エピゲノム編集 / p21 / 細胞老化 / 細胞周期 / p53 |
研究開始時の研究の概要 |
DNA損傷などによってゲノム不安定性を持った細胞が増殖することを防ぐための癌抑制機構として細胞老化が知られている。細胞老化に至る分子機構は核の機能および核タンパク質の観点から研究されてきたが、分子的実体を含むその全貌は未だ不透明である。代表者は小胞体膜貫通型転写因子OASISを発見し、DNA損傷に応答して活性化したOASISが細胞老化を促進する働きがあることを見出した。本研究課題ではこの研究成果を突破口にして、「細胞老化」を誘導する細胞応答の分子機構を小胞体機能の視点から解明し、このシステムの破綻から細胞・個体老化制御の異常と癌誘発に至る機序を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
小胞体膜局在転写因子OASISは小胞体ストレスに応答して膜内切断を受け、DNA結合領域を含むN末端断片が核内に移行して転写因子として機能する。研究代表者はOASISがDNA損傷に応答して活性化し、p53非依存的にp21の誘導を介して細胞周期を停止させることを証明した。OASISは多くのglioma患者やglioblastoma細胞でプロモーターが高度にメチル化されており、その発現が低下していた。エピゲノム編集技術によって高メチル化を解除すると、その発現が回復し、癌細胞の増殖や腫瘍の成長を抑制することができた。本成果はOASISがp53に匹敵する癌抑制因子として機能することを示唆するものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々が作成したエピゲノム編集用コンストラクトをglioblastomaに導入してその増殖を抑制できたことから、OASISが腫瘍成長抑制の新規治療ターゲットとなり得ることを示すことができた。本研究の成果はOASISと同様にプロモーターが高メチル化状態にある癌抑制遺伝子の特異的脱メチル化とその発現誘導の実現に発展する可能性を秘めており、新たな癌治療法の選択肢となることが期待される。また、OASISプロモーターは乳癌細胞や膀胱癌組織などでも高度にメチル化されていることを発見していることから、glioblastomaに留まらず様々な腫瘍に対する新規治療戦略の構築へと波及することが大いに期待できる。
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