研究課題/領域番号 |
20K07585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中山 瑞穂 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (20398225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 変異p53 / 大腸がん / LOH / p53 / 不均一性 / 変異型p53 / マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
大腸がんドライバー遺伝子はほぼ明らかとなってきたが、転移・再発に関わる遺伝子変異は未だ不明な点が多い。変異型p53は、新たな発がん機能を獲得することが知られている。これまでに大腸がんドライバー遺伝子の複合変異マウス腫瘍からオルガノイドを樹立し、これを移植して転移した腫瘍では野生型p53を欠損した(LOH)細胞が多く、このような腫瘍では線維化を認めた。ヒト大腸がんでも変異型p53発現腫瘍の多くでLOHがみられ、腫瘍の線維化は予後不良の特徴でもあることから、p53変異とLOHの組み合わせによるがん細胞の悪性形質獲得や、がん微小環境の特性を明らかにすることによって、転移・再発のメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
p53変異は唯一多くのがんで共通したドライバー遺伝子であり、ミスセンス変異p53には新たながん促進機構が備わっていることが知られる。 本研究は大腸がんドライバー遺伝子の一つでもあるp53変異に着目し、独自に開発したヒト大腸がんドライバー遺伝子変異を持つマウス腸管腫瘍オルガノイドを用いて、個体レベルでp53変異と悪性化の関係性を解析した。肝転移モデルにより原発巣と転移巣におけるp53遺伝子変異を調べた結果、転移巣では多くの腫瘍で野生型p53の消失(LOH)が起きていることを突き止めた。さらに、この変異p53/野生型p53 LOH細胞が獲得している悪性化形質を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大腸がんの転移に関わる原因遺伝子はわかっていない。本研究は多くのがんでミスセンス変異が入っているp53に着目し、大腸がん転移前後のp53遺伝子とそれに伴う腫瘍細胞の悪性形質を調べた。p53にミスセンス変異が入っただけでは悪性度は低いが、これに野生型p53欠損(LOH)が組み合わさることで、高い転移能力を獲得していることが分かった。ヒトのがんで見つかるp53の多くがミスセンス変異+LOHの組み合わせであることから、このようなp53は転移における責任遺伝子であることが示唆された。この結果はp53変異によるがん悪性化メカニズムの理解を深め、p53を標的とする創薬開発にも貢献するものである。
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