研究課題/領域番号 |
20K07589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡邉 すぎ子 熊本大学, 発生医学研究所, 特定事業研究員 (10433012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | がん / 細胞老化 / ゲノム不安定性 / 全ゲノム解析 / DNA損傷修復応答 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴って体内に蓄積される細胞老化をおこした細胞(老化細胞)を前がん病変とみなし、細胞質内のクロマチン断片の増加と、それによって誘導されうるゲノム不安定性に着目することで、老化細胞の機能的特徴であるSenescence Associated Secretory Phenotype; SASPの誘導機構の解明と、老化の一表現型としての発がんの分子メカニズムの詳細を明らかにする。その分子基盤をもとに、SASPの制御を可能とする分子標的の同定へと発展させ、効果的ながん予防・治療法開発のための足がかりとしたい。
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研究成果の概要 |
細胞は過剰なストレスを受けると分裂を止め、細胞老化が誘導される。そのとき細胞質内にクロマチン断片の増加が観察されている。本研究ではその断片を次世代シーケンス解析することによって、ゲノム不安定性や発がんとの関係を明らかにすることを目的とする。分析により、老化細胞の細胞質にみられるDNA配列は、核や健常の細胞の細胞質に存在するDNAとは明らかに異なるクラスターを呈することが明らかになった。さらに老化細胞の細胞質で特異的に増加するゲノム領域の中には、実際のがん組織で高率に増幅や欠失を呈する領域が含まれており、ゲノム不安定性との関連が示唆された。今後本研究を基盤としたさらなる応用研究が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞老化の誘導に伴って細胞質に増加するDNA配列を解析し、実際のがん組織で認められているゲノム不安定性との関連を見出した。細胞老化を起こした細胞は加齢により体内に蓄積することが知られており、加齢性発がんとの関連が示唆されているが、その分子メカニズムは不明である。本研究成果は、加齢に伴って増加する発がんの分子メカニズムの一端を細胞質のゲノム解析から明らかにするものである。加齢性発がんの理解を深めることに加え、今後の応用解析によって、発がんやがん治療効果のモニター、さらには新たな治療戦略創出に役立つであろうことが期待できる。
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